7月1日から7Payが始まる


ついにセブンイレブンがQRコード決済を始めるようです。

はじめに

来る7月1日からセブンイレブンが7PayなるQRコード決済を始めるようです。

それに伴い、メルペイ、Paypay、LINE Payなど、これまで対応を見送っていたQRコード決済への対応もするようです。

そこで、つい2か月前に、なぜセブンイレブンがQRコード決済を導入しないのか、その必然性を語ったばかりですが、今回は、なぜセブンイレブンがQRコード決済を導入するのか、その必然性を語ってみます。

セブンイレブンはなぜバーコード決済を導入しないのか

7Payの基本

まず、現在のところ、7月1日から7PayなるQRコード決済が始まることしか明らかになっておらず、7Payの詳細は全く明らかになっていませんが、私には「見える」ので、7Payの基本から解説します。

7Payというのは、電子マネーで、nanacoと同じです。

「QRコード決済」を一つの電子マネーであるかのように扱う報道のせいで国民のキャッシュレス決済に対する理解はおかしくなっていますが、キャッシュレス決済には、後払いのクレジット型、即時口座引き落としのデビット型、事前チャージ型の電子マネー型の3つがあるだけです。

そして、その3つの利用方法として、ピッとやるFelica方式と、バーコードを読み取るQRコード型があるだけとなります。

したがって、今度登場する7Payというのはnanacoと何ら変わらず、あらかじめ事前チャージした金額の枠内でキャッシュレスで買い物が可能で、支払う方法が、スマホやカードをピッとやるのではなく、スマホアプリに表示されるQRコード決済を読み取る方式になるというだけです。

もっとも、2種類並列されてはセブンとしても面倒なので、nanacoのポイント還元率を従来の1%から0.5%へと下げ、7Payへの移行を誘導しようとしています。

では、既にnanacoがあり、しかもFelica方式の方がQRコード決済方式より技術的には進んでいるはずなのに、なぜ7Payに移行するのでしょうか。

おそらく、これは購買情報を集めて、それに応じたクーポンの配布等のキャンペーン活動を行いたいからだと思います。

そこで、購買情報の収集と販促活動という点から、nanacoから7Payへの移行を考えてみます。

統一QRコード

まずは、購買情報の収集から。

これは、統一QRコードの登場の影響が大きいでしょう。

別の記事でも書きましたが、QRコード決済の乱立が話題ですが、QRコード自体が統一されれば何の問題もありません。

QRコードの規格統一のインパクト

この店はPaypayに対応しているか、7Payに対応しているか、なんて気にする必要がなく、QRコード決済にさえ対応してれば、裏側で利用者が何Payを使用していても関係ありません(決済代行会社の対応はとりあえずさておき)。

そうすると、QRコード決済が使える店舗は劇的に増えます。

何より、ある店がQRコード決済に対応すればほぼ自動的に7Payだって相乗りできるわけですから、従来のように個別的に店舗をまわったりしてnanacoを導入しませんかなどと、店舗勧誘をする必要はありません。

したがって、nanacoにこだわるよりも、とっとと流れに乗って、みんなと一緒にQRコード方式に乗っかった方がよいかと思います。

また、おサイフケータイに対応していないスマホでも利用できるようになりますから、利用者も増えるでしょうし。

以上のように、QRコード決済方式にしておけば、従来のnanacoと異なり、使用できる店舗数や利用者は増えることが予想されるので、購買情報の収集という点から合理的な判断です。

アプリの充実

SuicaやnanacoなどのFelica方式の最大の問題点は、事前にチャージした金額から使用額が引かれるだけという点。

まあ、そのシンプルさこそが利点でもあり、私のようなおサイフケータイ派からすると、スマホのロックを解除しないまま、かざすだけで決済できるFelica方式に比べて、スマホロックを解除してアプリを立ち上げる必要のあるQRコード決済はだいぶ不便に感じます。

ただ、Felica方式は、JRがリードして来ただけあって、チェックインからチェックアウトまでという一連のサービス全体の流れの中の「支払い」というプロセスにしか注目していません。

その点、QRコード決済方式は、アプリの中の1機能になるので、そのアプリの中でクーポンを配布したり、ポイントから支払ったり、月間の利用額に応じた会員ランクをつけてポイント還元率を変動させるといった処理が簡単にできます。

こういった販促活動への応用性の高さが、アプリに組み込めるQRコード決済方式の利点です。

チャージ方法とセブン銀行

7Payで気になる点として、クレジットカードからのオンラインチャージはできても、オンラインバンキングと提携した銀行口座からのオンラインチャージにはどうやら対応しないようです。

これなんでなんだろう。セブン銀行のせいかな。

セブン銀行の本業はATM代行業で、地方銀行など、独自のATM網を構築することがコスト的に見合わない銀行のATM代行をしています。

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利用者が、セブン銀行ATMで、提携銀行の口座から引き出したときに、その手数料の一部をもらうというのがセブン銀行のメイン収入です。

その点、アプリ上で銀行口座からのオンラインチャージができるようにしてしまうと、地方銀行の口座などから直接チャージして利用するパターンが増え、提携先銀行口座からセブン銀行ATMで引き出されたときにもらえる提携手数料収入が減るからできないようにしているのかな。

だとしたら、身内のセブン銀行を守るために変な制限を加えて利便性を害していることになるので問題ありな気がします。

(それとも、銀行口座からのチャージは何か法的な問題等ハードルがあるのかな)

まあ、個人的に、現金派からキャッシュレス派への移行というのは実は内側に何段階かあるような気がしていて、いきなりオンラインバンキングをスマホの決済アプリに登録してというのは高齢者層にはたぶんハードルが高くて、ATMからスマホにチャージしその枠内でだけ使うというアナログなプロセスが意外に受け入れられるかもしれませんけど。

また、数々の調査から明らかなように、日本におけるキャッシュレス化の最大の障壁は、資金感覚が狂うことに対する怖れですから、事前チャージ型が導入としては分かりやすくて、よかぺい・よこぺい・ゆうちょぺいといった、銀行座から即時に引き落とされるデビット型は大して普及しない気がします。

そして、Paypayは現金チャージが出来ず、オンラインバンキングを登録する必要がありますから、実はQRコード決済で現金チャージが可能なタイプは少ない気がします。

オリジナルのキャッシュレス決済のマップ作ってみました。

以外にこれが利点になったりして。

他社QRコードの利用開始

7月1日の7Pay開始から、Paypayなど今まで利用を拒んでいた他社のQRコード決済も利用可能になるようです。

これは、時代の流れに逆らえなかったのかな。

先日Paypayの100億還元キャンペーンの第2弾が終了しましたが、還元額だけで100億円ですから、売り上げベースで見れば500億から1000億円Paypayが使われたことになります。

ざっくりですが、その内の500億くらいコンビニで使われていて、しかも100億くらいセブンの売り上げがファミマやローソンに移動してるんじゃないかな(金額は適当)。

そこは無視できなかったのだと思います。

そして、他社QRコード決済を導入するのであれば、独自のQRコード決済も用意せざるを得なかったとも言えます。

後は、LINE PayとPaypayとの提携もあるでしょう。

LINE PayとPaypayとの提携は何かというと、両者ともQRコード決済だけでなく、個人間送金を銀行から奪おうとしています。

手数料がかかる銀行振り込みと異なり、PaypayやLINE Payでは無料で知り合いに送金できますから、今後利用は増えていくと思われます。

しかし、アプリを利用した個人間送金というのは、自分の残高を相手の残高に送るわけですが、LINE Payで受け取ったお金はLINE Payで使う以外に使い道がないという縛りがあれば利用されるはずはなく、当然、現金として引き出せます。

ではどこで現金化できるのか。

実は、そこで登場するのが、銀行というよりATM代行業といえるセブン銀行で、セブン銀行ATMから現金として引き出すことができます(手数料はかかる)。

今後、デジタルマネーでの個人間送金が盛んになると予想されますが、どこかで必ず現金は登場し、しかし、メガバンクのATMと提携しようものなら失った振込手数料を挽回しようと全力で吹っ掛けてくるはずで、そこに登場すべく虎視眈々と構えているのがセブン銀行です。

そう考えると、他者のQRコード決済アプリとも提携した方が良いとなったんでしょうね。

ただ、自分達のQRコード決済が用意できるまでは待っていたということでしょうか。

また、メルペイも無視できないでしょう。

まだ、大人の方が今一つメルカリは認知していませんが、もう少し経って、メルカリで現金化できないものは無いという認識が広まれば、大人から子供への小遣いとしての現物支給は増えるかもしれません。

「これメルカリで売ってくれたら代金の半分あげる」なんていうタイプのお小遣いは増えてくる気がします。

そんな感じで、メルペイのシェアは必ず一定のところまで食い込んでくるような気がします。

以上雑多ですが、そんな感じで、7pay開始に伴い、他社のQRコード決済への対応も始めるのでしょう。

おわりに

7Payが7月1日から始まるということで、今思いついたことを書いてみました。

まあ、nanacoがある程度普及してしまったからなかなか方針転換は面倒なのかもしれませんが、デメリット以上のメリットがあると踏んだのでしょう。

ただ、詳細分かってないけど、セブンATMからのチャージに関して、銀行口座からの直接チャージは用意しておいた方が良い気がするのだけどなあ。

テクニカルには筋悪なんですが、そういった変な半デジタル半アナログみたいなものが移行期にはあっていい気がする。

要らないかな。どうだろう。