キャッシュレス戦国時代:Paypay、LINE Pay、d払い


目次

三つ巴の争いになっています。

はじめに

先週から始まったPaypayのキャンペーンが話題になっているせいか、いたるところでキャッシュレス決済の話題を聞くようになりました。

「なぜ現金派なのか」という問いに対して、「現金で十分」とか「セキュリティに不安」とか「資金管理面しづらい」とか力強く語っていた人たちが、Paypayの20%還元キャンペーンを受けて一斉に使いだすという事態となっています。

キャッシュレス決済は、話題にはなるもののいま一つ普及しないという感じだったのですが、今回のPaypay騒動で急に動き始めた感があり、これからどうなるか楽しみな状況となっています。

そこで、最近よく聞く3大新興勢力である、Softbank率いるPaypay、LINE率いるLINE Pay、そして、ドコモ率いるd払いの勢力争いについて解説したいと思います。

なお、私は基本的にふざけているのでご了承ください。

決済会社がほしいもの

キャッシュレス決済戦国時代の解説をする前に、その前提として、キャッシュレス決済が普及すると、そもそも決済会社にどんな利益があるのかを解説します。

キャッシュレス決済を提供する会社の収益源には大きく二つあり、1.決済手数料と2.利用者の行動履歴の二つです。

まず、決済手数料。

ラーメン屋で代金1,000円をSuicaやクレジットカードで支払ったとします。

そうすると、現金はその場で動きませんが、もちろん後に決済会社(正確には代行会社というもうワンクッション入るのですがそこは割愛)から代金が振り込まれます。

しかし、1,000円ではなく、大体970円くらい、つまり、約3%の手数料(3%は最安値)を引いて振り込まれます。

これが、決済会社のメイン収益源の決済手数料で、自分たちのプラットフォームを利用した決済総額の3%が自分たちの収益になります。

つまり普及すればするほどもうかることになります。

ここで大事なことは、その3%の手数料を負担しているのは誰かということですが、もちろん店舗側です(水商売は除いて)。

したがって、小規模の商店などでは、クレジットカードや電子マネーが使えないところも多いですが、端末の導入が面倒とか高いというより、実は、手数料負担を嫌がっているケースも多いです。

余談ですが、最近ではスマホやタブレットのイヤホンジャックに差し込むタイプの端末があり、それを利用することで専用回線を利用せずに簡単にクレジットカードを決済できるようになっています。

この技術で、今まで端末導入のコストを考慮してクレジットカード決済の導入を見送っていた中小商店にも一気に導入が進むはずと、5,6年前には非常に画期的だと話題になっていたのですが、それらの手軽で格安な端末の登場と各社のバラマキにもかかわらず大して導入が進まなかったことから、はじめて、中小商店が嫌がっているのは、手数料負担であることが明らかになりました。

話を戻しますが、手数料負担をするのは店側ということは、今はPaypayが話題ですが、Paypayという会社の顧客は、ビックカメラやファミリーマートであって、Paypayで支払いをするユーザーではありません。

この視点は結構大事です。

次に、決済会社がほしいのは決済履歴、すなわち利用者の購入履歴からわかる利用者情報です。

キャッシュレス決済の場合、誰がどこでいくら使ったのかを、利用者と店だけではなく、決済会社もわかるようになり、しかも、決済会社は、複数の店舗をまたいだ情報となっていますから、支払い履歴という行動履歴から、利用者像をかなり詳細に作り上げることが出来ます。

Amazonは、利用者の購入履歴だけでなく、利用者ごとに、どの商品をクリックしてどのページを何分見たのかまで収集分析し、0.1人単位のマーケティングをやっているので有名です。

0.1人単位というのは、平日の夜見ている私と土日の夜に見ている私では、違う顧客であるかのように扱い、表示される広告も異なるという意味です。

しかし、Amazonには、Amazonの購入履歴しかありません。

その点、Suicaで全部支払う人がすべての購買行動履歴をJRに握られているように、キャッシュレス決済会社は、もし天下を取れば、利用者の行動履歴を収集分析して、それらを別のビジネスに生かすことが出来ます。

それは、個人信用スコア事業とも言われていますが、下記の記事で書いたので詳述はしません。

LINEが信用スコアビジネスに参入:芝麻(ジーマ)信用を目指すのか

信用スコア事業は、正に未来のビジネスです。

以上のように、決済会社としては、とりあえず加盟店からの決済手数料が得るわけですが、さらにその先には、利用者の購買行動というビッグデータの構築&ビジネス利用という次元の違う野望があります。

Paypayは織田信長

PaypayはSoftbank率いる決済サービスで、現在、利用額の20%還元キャンペーンという大盤振る舞いをして、すごい勢いで利用者を増やしています。

しかし、その裏側では加盟店に負担を押し付けているんでしょと考えた人、鋭いけど違います。

Softbankはなんと加盟店側の手数料も3年間は無料としています。

つまり、Softbankにとって、Paypayは今後3年くらいは完全に持ち出しのビジネスで、大量のお金が出ていきますが、1円の利益も計上されない予定となっています。

それだけシェアを取った先の利益があると見込んでいるのだと思います。

もちろん、利用者が増えて定着すれば、加盟店側も、3年経って手数料が発生するようになったからやめるということにはならないでしょうから、十分元は取れると踏んでいるのでしょう。

そして何より、個人の信用スコアビジネスに大きな展望を持っていそうで、これは中途半端に展開しても意味がないというか、SuicaやLINEやドコモという一大ネットワークインフラがすでにあるので、そこに勝てる規模のネットワーク構築に失敗して、断片的な支払履歴情報を集めても意味がないわけです。

つまり、天下を取るか、そうでなければ無意味かの2択くらいに考えていそうです(情報収集に目を向けるとこれは間違っていない)。

そこで、3年間加盟店手数料無料とか20%還元キャンペーンとか滅茶苦茶なことをやっています。

そして、今やっているキャンペーンは総額100億円といっていますが、おそらく第2弾、第3弾をやるはず。

チキンレース上等で、他のライバルが疲弊・消耗して戦意喪失するまで、ばら撒く物量作戦を展開する気です。

業界全体を焦土化する気満々だと思います。

戦国時代で言う織田信長で、正に破壊者。

戦国時代で天下を取るためには戦争しかないだろということで、大量の資金と人材を投入して、全方面に喧嘩を売っています。

しかし、現状、キャンペーン効果とは言え、ユーザーが爆発的に増えているのも事実で、20%還元はポイントでされますから、還元目的で使った人たちも使い続けることが予想されます。

そして、利用者が増えると、店舗側も加盟せざるを得なくなりますから、業界地図を大きく変えそうです。

こんな感じでPaypayは快進撃を続けていますが、そうはいってもライバルは相当強力です。

なぜかというと、ここまでやると超強敵が立ちはだかります。

というのも、既存のクレジットカードやピッとやるタイプの電子マネーなどは店舗側に端末があって、その回線はドコモのネットワーク。

つまり、Suicaを使おうがnanacoを使おうが、3%の決済手数料の全額を決済会社が懐に入れるわけではなく、一部はドコモに入ります。

また、クレジットカード端末の場合もそうで、回線使用料としてドコモも取っていきますが、クレジットカード情報の通信の仕組みはVISAとかMastercardが作ったものですから、そういったカードブランド会社(発行会社とは別の)にも手数料の一部が入ります。

この点、Paypayは、QRコード決済かスマホに表示されたバーコードを読み取るバーコード決済ですから、そういったネットワークを一切介さずに、手数料が発生した場合には、全額Softbankが持っていきます。

これをNTTやVISAやMastercardが黙っているはずがなく、そういった大企業の裏にはかならずメガバンクなんかが登場します。

Paypayユーザーが爆発的に普及しているとはいえ、この勢いで加盟店が開拓できないと、キャンペーンを利用されるだけで終わります。

20%還元は大きいですから、普段はヨドバシカメラ派の人も年末の買い物はビックカメラでしているようですし、20%還元はポイントでされるわけですから、せっかくポイントが使えるのだからといって一番近いセブンイレブンからちょっと歩いてファミマに行く人も増えそうです。

それを受けて、セブンイレブンやヨドバシがどう動くか、これが本当のチキンレースというか、潰し合いです。

メガバンクが裏でどこまで動いているかはわかりませんが、一部の人たちが、全国の大型店舗や全国チェーンを巡って、既存の決済手数料下げるからPaypayに加盟しないでくれと交渉してそうです。

ハッキリ言って、コンビニなんて、今さら決済の方式1つ増やすことなんて簡単ですし、キャンペーン景気をファミマに独占させておく必要なんてないわけですが、セブンとローソンは動かず。

これは、Paypayには大きな敵がいることを暗示している気がします(今後あっさり使えるようになったらすみません)。

しかし、その抵抗にSoftbankが勝つには、ユーザー増やして、なんでこの店はPaypayが使えないのかと不満を口に出すレベルまで持っていく必要があり、それまで、弾が尽きるまでばら撒きやる気だと思います。

これが、業界の破壊者Paypayです。

LINE Payは武田信玄

PaypayのライバルはLINE Payです。

ここのやり方は、非常にスマートなのですが、キャッシュレスリテラシーの低い人には難しいと思います。

詳細は以下の記事で解説したので下記では簡単な仕組みだけ説明します。

LINE Payの使い方:操作方法ではなく仕組みを中心に

LINE Payというのは非常にシンプルでSuicaと同じくデポジット型の電子マネーです。

しかし、Softbankのように、加盟店を急拡大する営業部隊はいないし、ばら撒く資本もない。

そこでどうしたかというと、そこで採用したのがLINE Payカードという仕組み。

たぶんこれ、ほとんどの人に理解されてないんじゃないかな。

LINE PayはJCBと提携してLINE Payカードというものを発行しました。

これは、デポジットした残高の範囲で買い物できるカードなのですが、JCBが16桁の番号を付与して発行するので、既存のクレジットカード決済のネットワークで処理が可能です(VISAプリペイドなどと同様、クレジットカード会社発行のプリペイドカード)。

つまり、このカードさえあれば、LINE Pay加盟店かどうかなんて関係なく、クレジットカードが使えるお店であればどこでもLINE Payで支払いができます。

つまり、デポジット型のカードなのですが、クレジットカードと同じように利用できます。

しかも、Quick Pay対応したので、おサイフケータイにいれて、ピッと決済することもできます。

LINE Payはコンビニではローソンのみ対応みたいになっていますが、このカードを発行してもらうと、すべてのコンビニ、ファミレス、スーパー等、JCBのクレジットカードが使える店舗ではどこでも使えます。

最重要ポイントは、JCBと提携してカードの発行に踏み切ったということ。

これは実はすごい意思決定で、2つの大きなポイントがあります。

1つ目は決済会社のメイン収入である決済手数料収入を捨てたという点、2つ目はクレジットカードを持てない未成年の不便を一発で解消するという点です。

まず、1つ目の決済手数料の話。

上述のように、LINE PayはJCBと提携してカードを発行することで、加盟店開拓をせずに、事実上ほぼすべての店舗で使えるようになりました。

その反面、これは既存のJCBのクレジットカードネットワークを利用しますから、JCBが手数料のほとんどを持っていくはずです。

ちょっとここの力関係は分かりませんし、LINE側も当然手数料収入はあるわけですが、まあ、LINE Payと語る時には、加盟店開拓競争は避けて、決済手数料ビジネスは捨てたとみなしてよいと思います。

手数料収入を捨てたということは、情報収集ビジネスに集中するということです。

LINEはもともとコミュニケーションツールですから、誰が誰とつながっているかが分かりますし、対企業のコミュニケーションでも今後LINEの活用が増えると予想され、居酒屋でドタキャンする人かどうかや、カスタマーセンターに暴言吐く人かなど、コミュニケーション関係の個人の信用情報を今後ますます握っていきます。

しかし、個人情報の収集という観点からはそれだけでは足らず、どうしても支払関係の情報が欲しい。

そっちまで手に入れば、非常に膨大な個人の行動に関するビッグデータを得ることが出来ます。

最近、LINEは正式に信用スコア事業に参入することを表明しましたが、これこそがLINEの本命で、そのためには決済手数料などにこだわっても仕方がないと考え、JCBと提携して、手数料をJCBに渡す代わりに、全国どこでもLINE Payを使えるようにしたのだと思います。

本当はPyapayだって個人の購買履歴を欲しいはずです。

しかし、手数料収入がほしいからこそ、大々的にキャンペーンを張って加盟店を独自開拓しています。

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Paypayだって、既存の何らかのネットワークに乗っかって、全国の店舗で使用できるように一気に持っていくことはできたはずです。

しかし、それだと、既存企業に手数料を持っていかれてしまいます。

ここがPaypayとLINE Payの最大の違いで、LINEはもともとコミュニケーションそれ自体という大量の個人情報を握っていますから、本丸は信用スコア事業で、そのために決済手数料をすてて、とにかくいたるところでLINE Payが使える状態にしたわけですが、Paypayとしては、あくまで手数料収入が本丸で、将来的には信用スコア事業にも興味があるとはいえ、そのために決済手数料を捨てるまではしないということでしょう。

そして、ここで2つ目のポイントが登場します。

それが未成年。

Paypayは、銀行からチャージして使うこともできるのでクレジットカードを持っていない未成年も使えますが、そうはいっても基本的にクレジットカードを持っている人がターゲットです。

QRコード決済に力を入れていることからわかるように、Paypayをネットで使うという方法はほとんど宣伝されていません。

AmazonでPaypayは使えないです。

これだと未成年は困るというか、今困っている状況から抜け出せません。

未成年者はクレジットカードを持っていませんから、Amazonでの買い物やゲームでの課金など、コンビニ等でプリペイドカードをかって都度番号を入力して購入するしかありません。

英和辞典のアプリなど非常に便利で私も3,000円くらいの一つ入れていますが(漢和辞典は2つ!)、これも未成年が自分のスマホに買うのは面倒です。

これを一気に解決するのがLINE Payカードで、残高から支払うという仕組みは維持しつつも、JCBが16桁の番号を付与していますから、クレジットカードと同様に使うことが出来ます(まあVISAプリペイドなどこういう仕組み自体はすでにありましたが)。

LINE Payはクレジットカードが裏側に登場しない珍しいキャッシュレス決済で、登録した銀行口座からのチャージが原則的な方法で、完全にSuicaとか楽天Edyとかと同じものです。

しかし、SuicaやEdyではネットの買い物はできません。

それが、このLINE Payカードを持てば、電子マネーとして街中で使えるだけでなく、ネット通販やアプリ課金などができるようになり、デポジット型ですから、子供でも使えます。

そして、カードを持ち歩くのは面倒ですが、Quick Pay扱いですから、おさいふケータイに入れて、ピッと決済できます。

つまり、LINE Payの狙いは、決済手数料ビジネスではなく、まさに自分達で言っている通り信用スコアビジネスで、老若男女問わず、全国どこでも、ネット通販でもアプリ課金でも、すべての場面で使わせて、購買履歴を得ようとしているわけです。

Paypayも、大規模なキャンペーンをするのはその先の未来の利益を見据えているからですが、LINE Payも同様に未来を見据えていて、未成年の囲い込みこそが布石なんだと思います。

中学生高校生でこれだけスマホが当たり前になっているけど、決済周りは何もできないという事態こそがある意味異常ともいえるわけですが、学生で普及すれば、彼らが大人になった後も使い続ける未来を描いているんだと思います。

これがLINE Payの野望。

戦国時代という枠組みの中で真っ向勝負で天下統一を夢見た織田信長に対して、スマートというか、戦国時代の統一というより、新しい時代の構築を夢見ている感じで、その点が武田信玄的です(なお、私は、幕末とか中国の歴史は結構いけるのですが、戦国時代はさっぱりなのでご了承ください)。

武田信玄は、お城を作らなかっとことで有名で、「人は石垣、人は城」などが有名ですが、物理的なでかい城とかではなく、有能な人材の採用育成とネットワーク構築による情報収集こそが勝負を決すると考えていた人でした。

なお、私の親戚で甲府でビジネスが成功しているやり手のおじさんがいますが、武田信玄は先見の明がなかった、でっかいお城の一つでも残しておいてくれれば、今頃、甲府にも新幹線が通っていたかもしれないし、観光客ももっといたはずと嘆いていました。

以上がLINE Pay。

d払いは上杉謙信

LINE Payを武田信玄にしたのは、実はd払いを上杉謙信にしたかったからだけです。

武田信玄という人は部下にも能力にも恵まれ、天下を獲るだけの実力があったと言われています。

しかし、獲れなかった。

なぜかというと、その理由はシンプルで、すぐ隣に上杉謙信という何の野望もない戦争狂がいたから。

この上杉謙信という人はただの戦争狂で、天下統一みたいな俗な野望はありませんから、周りには弱小大名しかいなくて人生に退屈していいたわけですが、武田信玄と闘って好敵手と見初めるや、全エネルギーを武田信玄との戦争に注いだ人でした。

信玄が窮地に陥ったときには、それじゃ困るということで食料を送って支援したりして、武田信玄との戦争ごっこが楽しくて仕方なかったわけですが、武田信玄の方からすれば迷惑千万で、天下統一に向けて動き出したいのに、上杉謙信が川中島での合戦を楽しみにしているし、戦うとやたら強いので全力で向かうも倒すこともできず、身動き取れないまま、そうこうしているうちに夢半ばで病気で死んでしまいました。

そして、LINE Payにとって、同じような存在がドコモのd払い。

d払いというのはドコモが展開するサービスですが、キャッシュレス決済の天下取ろうとかそういうことは一切考えていません。

ただ、既存のドコモユーザー経済圏を発展させたいだけです。

楽天ポイント経済圏に考えが近いですが、dポイントというポイントをキーにして、様々なサービスをドコモ経由で提供して手数料収入を得ることが目的です。

そして、流行りのキャッシュレス決済にも当然参入し、dポイントも使えるようにして、通信料との相乗効果をユーザーに提供することでドコモ帝国をより盤石なものにしようという作戦です。

当然、日本人全員がドコモユーザーになることなんて夢見ていませんし、日本全国でd払いが利用できることを目指してはいません。

既存のユーザーが、ドコモユーザーであることに利便性を感じてくれ、さらにそこから手数料収入が得られればそれでよいのであって、それなりの全国チェーンなどを開拓していく予定でしょう。

信用スコア事業にも意欲を見せていますが、あくまでドコモユーザーを基軸に考えていて、ドコモユーザー以外にd払いを使わせて購買行動を入手しようなんて考えていません。

そして、このd払い、基本的にキャリア決済といわれるもので、使った分だけ電話料に合算されるのが基本です。

もともとドコモ払いという方法があって、これはネット通販のみで利用可能で、ネットで買い物したときに代金は通話料に合算して払うというものでした。

これを発展させて街でも使えるようにしたのがd払いで、スマホアプリに表示されたバーコードを見せることで支払うことが可能で、しかも、dポイントを貯めることも支払いに使うことも可能にしたのがd払いです(もちろん従来のドコモ払い同様ネットでも使えます)。

なお、クレジットカードを登録して使うことも可能ですが、やはりメインは電話料合算方式のいわゆるキャリア決済だと思います(ドコモユーザー以外はキャリア決済が使えないのでクレジットカード登録が必須ですがそんなひといるんだろうか)。

そして、これが未成年と相性が非常に良い。

クレジットカードではないので、枠が非常に少なく、大人でも数万円で、未成年は1万円です。

しかし、LINE Payとちがってデポジット型ではなく後払い型ですから、子供の小遣いとしてある程度の範囲内でネット通販やアプリ課金を認める場合には非常に便利です。

子「アプリの英語辞書買いたい」
親「いくら?」
子「2000円」
親「じゃあd払いで買っていいよ」

という流れがシンプルです。

これがLINE Payだと、一旦親から子に送金するという操作が必要で、親がLINE Payを使っていればよいですが、そうでないとd払いの方が便利です。

子供がネット決済を自由にできないというのは不便で、そのためにLINE Payが登場するわけですが、d払いがあればそれで十分ということで済んでしまうところが、LINE Payからすると困ったところ。

親子間のコミュニケーションにお小遣いのやり取りは不可欠で、それがネット通販やアプリ課金の場合は現金渡してもあまり解決にならないわけで、そこで普段コミュニケーションをとっているLINEに送金機能を付ければ一気に普及するはずですが、銀行口座を登録するといったプロセスに怖さを感じる人からすると(クレジットカードと違って不正利用時に即時に口座からお金が消える)、d払いがあればそれでいいとなってしまいます。

特に、LINEは個人信用スコア事業に進出することを表明しており、個人の行動をビッグデータとして収集分析することは隠しもしない既定路線で、言い方は悪いですがキャッシュレス決済が嫌いな現金派のリテラシーを考慮すると、個人情報を収集して第三者に売る信用スコアビジネスなど、とんでもない悪徳企業に写ってかえって利用を控えるかもしれません。

それでも、LINEは使わざるを得ないということでコミュニケーションでは使っている人も多いのですが、決済系に関してはd払いがあれば、LINE Payは導入しなくても済んでしまいます。

これがd払い。

ドコモとしては、ドコモ経済圏のユーザーに今流行りのキャッシュレス決済の利用方法を提供するとともに、dポイントのお得さをアピールしてドコモ帝国を盤石にすることしか考えていないわけですが、その結果LINE Payを全力で妨害するという形になっています。

また、LINE Payにはそもそもの弱点があります。

それは、クレジットカードと同じような使い方ができるとはいえあくまでプリペイド型。

その結果、通常の買い物は大丈夫なのですが、月額の継続課金でははじかれることも多いです。

男性諸氏の中には、アダルトサイトの継続課金の身内バレを危惧して、コンビニで買ってきたVISAプリペイドで会員登録しようとして登録できなかった経験がある人もいるかもしれませんが、同じ16桁の番号のようで、クレジット型とプリペイド型はしっかり区別がついていて、残高の範囲内でしか使えないプリペイド型による支払いを認めない月額課金サービスは多いです。

ということは、未成年はLINE Payカードがあっても、一部の継続課金サービスは利用できないことになります。

今は、Youtubeですら広告なしの有料版を始めましたし、NetflixやSpotifyなど、動画や音楽に関して継続課金サービスが隆盛ですが、月額数百円なのに、未成年は使えない事態となっています(なおNetflixはLINE Payカードは使える)。

しかし、ドコモは、dTVとかdミュージックとか、アニメチャンネルとか、主要分野に関しては自前でサービスをやっていて、もちろんそこはd払いが使えるわけです。

アニメチャンネルなんて、未成年を囲い込むには絶好のサービスだと思います。

このように、LINE Payというのは未成年のキャッシュレス決済市場を獲りに行きたいわけですが、d払いが邪魔をしています。

ドコモは動画配信に手を出したり音楽配信に手を出したり、いったい何をしてるんだという感じがしつつも、楽天化しつつあって、全部まとめてしまうとユーザーにとってはそれなりに魅力的で、しかも未成年も全くそん色なくサービスを利用できるという点で、ファミリーベースの利用と非常に相性が良くて、LINE Payにとってはとんだ強敵です。

LINE Payは、d払いあたりと競争してぐずぐずしていると、中途半端な普及で終わってしまう可能性があります。

これがd払いです。

個人的予想

個人的には、おそらくドコモユーザーは消えないのでd払いは消えないでしょうが、PaypayとLINE Payは将来的に上手くいかないとみています。

そして、Google PayとApple Payが天下を二分し、Amazon Payが戦略次第では食い込んでくるとみた。

いきなり全然違く名前が出てきて、なんじゃそりゃという感じですが、AppleとGoogleのセキュリティへの力の入れようは結構すごいです。

その反面、LINE PayとPaypayはセキュリティ面を強調していないのはちょっと気になる(そもそも根っこのところの仕組みづくりをしていないのでやむをえないのですが)。

これだけキャッシュレス決済が増えてくると、近いうちに不正利用関連でどこか1社くらいやらかすんじゃないかと思っています。

まあ、Paypayあたりは何かあっても補償すれば良いくらいに考えてそうですが。

ただ、Apple PayとGoogle Payの仕組みはすごいです。

2社とも、釣銭がいらなくて便利とかじゃなくて、カードや現金を実際に持ち歩くよりも安全な仕組みを目指しています。

その方向こそが、キャッシュレス決済の進むべき道だと思うのですけどね。

個人情報欲しさに利便性強調したりポイント還元したり、本当に大きな鯛がつれるでしょうか。

終わりに

キャッシュレス決済の3大新興勢力である、Paypay、LINE Pay、d払いのそれぞれの展開について整理(?)してみました。

3社とも競合なんですが、戦略が大きく異なるのは興味深いですね。

ただ、最後はセキュリティで決まると思うので蛇足を追加してみました。

なお、上杉謙信と武田信玄の関係は、坂口安吾のなんかの作品に書いてあったのを参考にしました。

誰も読んでくれいないけど、GoogleのTitan Mはすごいんだけどなあ。

Google Pixel3の目玉はカメラでもAIでもFelicaでもなくTitan Mなのか