サブスクプラットフォーマーVSコンテンツクリエーター


どっちが勝つのかそれとも共存か。

最近、ネットを見ていると、しょっちゅう出てくる、漫画サイトの広告。

ほとんどがエログロ系なので、電車の中とかでスマホに表示されると恥ずかしくなってくるわけですが、ものすごい成長分野らしいですね。

めちゃコミックやコミックシーモアなど。

聞いた話では、30代から40代女性のシェアが急成長中で、その層の取り合いが激化しているようです。

そのビジネスモデルに目を向けると、これらネット漫画サイトの特徴は、サブスク根性全開といった感じでしょうか。

要するに、売れそうなものを全力で大量生産しているようです。

最近になって、映画だけでなくゲームや漫画もサブスクの時代に突入して始めています。

先行する映画とドラマの分野では、Netflixを中心にすさまじいバトルがおきています。

Netflixを巡っては、当初は悲観的な見方も多くありました。

曰く、最終的にはコンテンツを持っているところが勝つと。

映画やドラマの著作権は制作会社などが持っていますから、みんなNetflixを見ていると言っても、オリジナルコンテンツ以外では、裏側でライセンス料の支払いが発生しています。

それを受けて、「Netflixが天下を獲ると、プラットフォーマーとコンテンツホルダーの力関係が逆転し、裏側で支払われるライセンス料などはいいように値切られ、利益の大部分がプラットフォーマーに持っていかれる」というのは考えもあるが、それは杞憂であると。

なぜかというと、今の時代プラットフォームを技術的に作ることは簡単だからで、つまり、Netflixが天下をとってもそれは三日天下であり、ディズニーやワーナーなどのコンテンツホルダー側が自ら動画配信サービスを始めて、自社の作品をNetflixなどから引き揚げれば、いずれプラットフォームを提供しているだけのNetflixなどは衰退すると。

現に、ディズニーはルーカスフィルムだけでなく20世紀FOXも買収し、自ら動画配信サービスを始めています。

もちろん、その作品たちはNetflixでは見られません。

そう考えると、似たように動きが相次ぎ、最終的にはこれまでの映画・ドラマ業界と同様、制作会社同士のバトルに収束し、単に視聴プラットフォームを提供しているだけの会社はいずれ消えていく運命にある。

もちろん、そんなことは百も承知のNetflixなどのプラットフォーマーは、ここ数年、オリジナルコンテンツの作成に猛烈に力を入れており、それからもわかるように結局はコンテンツ競争になる。

そして、そう考えると、ディズニー、ワーナー、ジブリなどの既存の大手製作会社のほうが一日の長があると。

実は、こういった見方に一番反論したのが、ディズニーの会長だと言われています。

曰く、自分達には確かにコンテンツ及びその制作力があるが、顧客との接点はディズニーワールドくらいしかない。

顧客との直接的な接点を持ち、その消費行動に関する多様なデータを持っているプラットフォーマーがどれほど強いかを多くの人が分かっていない。

てなことを言ったらしいです。

このディズニー会長の発言を地で行くのがネット漫画サイトのようです。

要するに、クリエーターを育て、自前のヒットコンテンツを作ることももちろん目指していますが、一番力を入れているのは、人気作品を徹底的に分析して、売れ筋の作品を大量生産することです。

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著名紙に連載を持っていないような新人のクリエーター捕まえて、自分が描きたいものを描いてもいいけど、それとは別に、こういう作品をこういう展開で描いてくれと、ビッグデータに基づいて、細かく指示を出します。

エログロ系の広告から来た人たちに向けて、不倫もの、復讐もの、裏社会ものなどを大量生産しているらしいです。

Netflixやアマゾンプライムなど、どの動画配信サービスも今はオリジナルコンテンツ作りに力を入れているので、最近は海外ドラマなどは無数に作品がありますが、そうなってくると、多くの人は、好みのジャンルの作品を選びます。

ジャンルを問わず面白いものを見たいという希望が無くなったわけではないのでしょうが、作品がありすぎて何見ていいかわからないという状況の中で、刑事ドラマが好きな人はそればっかり、医療ドラマが好きな人もそればっかり、恋愛ドラマ系が好きな人もそればっかりと、消費者行動の大部分が、自分が見たいものが見たいのであって、そこまで評論家気質ではないようです。

もちろん、週刊少年ジャンプのように、才能ある作家を発掘し、それを育てながら、一流のコンテンツを生み出していく方法もあります。

しかし、消費者行動を分析し、過去の作品の焼き増しや使いまわしもいとわずに、読まれそうなものをひたすら大量に生産して提供していくという方法論も、創作という観点からは偽物っぽいですが、多くの利用者が現実には評論家ではなくエンジョイユーザーなので、相当強力なんじゃないかと思います。

もちろん、サブスクサイドだって、潤沢な資金を生かして、良好な製作環境を提供し、クリエイターの自由で創造的な才能の発揮を導き出すことも可能です。

そして、そこに注目すると、結局は誰が良質な作品を生み出すのか、その制作環境を提供できるのは誰なのか、才能あるクリエイターが選ぶプラットフォームはどこなのかという話になりそうな気もします。

しかし、それでは、結局コンテンツ製作競争になるというだけです。

個人的な焦点はそこではないです。

そうではなくて、本気の評論家からするととても理解できないような、金太郎飴コンテンツを大量生産するプラットフォームが実は天下を獲って、クリエイター魂を強調するようなプラットフォームが衰退するということが起こりうるのではないかと思うのです。

ほとんどの人は、暇な時間に見たいもの読みたいものを欲しているだけですからね。

個人的には、この、クリエイターVSビッグデータ分析という対決の行く末が一番サブスクサービスの未来としては気になります。

AIがマンガを描く時代も近いらしいし。

ハマる人続々、心温まる作品ばかり、どの作品も涙なしには見れない、といったハートフルな家族ドラマ専門の人気漫画家が登場し、取材嫌いのためその正体は長い間ベールに包まれていたが、実はAIでしたなんて未来をめちゃコミック当たりがやってくれるんじゃないかと期待しつつも恐れています。

もちろん、日本人は皆マンガには厳しくて、大量生産型のサブスクサイトが、ジャンプとかマガジンにあっさり敗北なんて未来も面白いですけどね。

一般ユーザーの選択が大きい気もしますが、有能なクリエイター候補者たちにとっても選択で、また、投資家たちも選択が迫れられているのかな。

さてどうなるか。