4月21日の日記です。
最近は東芝に関連して会計の話ばかり書いています。
なので、そろそろ違う話を書こうかなとしていたら、日本郵政の海外子会社の減損と富士フィルムの海外子会社の不正会計問題が出てきましたね。
皆さんはご存知だと思いますが、マスコミの方で報道統制が引かれることはよくあり、同じ不正会計問題ですが、ライブドアなどは粉飾決算と報道されるのに対し、東芝は不適切会計問題と報道されています。
どう考えても粉飾決算ですけどね。
今回の富士フィルムも不適切会計という方向で報道するべくコンセンサスが出来つつあるみたいで怖い世の中です。
ニュージランドのリース会社で損失隠しがあったらしいですが、要するにリース資産かリース債権の減損をしていなかったというところでしょうか。
しかも、2015年からやってたらしく、当時の監査法人は新日本監査法人になりますね。
資金の回収に問題が起きている場合の減損漏れなんて、通帳見れば分かるわけで、どうすれば見逃せるのかわかりませんが、支払い催促に対する、「ちょうどいま準備してるところです」なんて債務者の主張を信じちゃったのかな。
まあ、最近はそばの出前とか頼まなくなりましたしね。
日本郵政のケースは2015年に6000億円で買収した子会社の業績が芳しくないのでのれんを減損するらしいですね。
6000億の買収で4000億円ののれんが計上されているらしいですから、純資産2000億円の会社を6000億で買ったわけですが、当の買収先が赤字続きらしいですね。
要するに、外資系のM&Aアドバイザリーにカモにされたんでしょう。
特に、日本の場合、社内に、外国人と国際ビジネスごっこをしたいだけの人が多かったりしますからね。
海外出張して、会議後にレストランで相手方の経営者やアドバイザリー会社のパートナーと会食したり、ずらっと並んだ弁護士や会計士からのデューデリレポート報告を偉そうに聞いたり、ちょっと厳しい風の価格交渉とか、そういうごっこがしたいだけの連中は残念ながらわが国には非常に多いですから、日本郵政のように、資金は豊富ですが、M&A経験は皆無なんて会社はさぞ美味しいカモだったのでしょう。
それにしても、東芝のウェスチングハウスから始まって、海外子会社の不祥事が続きますね。
ただ、これをきっかけにして、海外子会社への締め付けを厳しくするっていう逆効果のことをしないようにしてもらいたいな。
日系会社が海外の会社を買収するとかなりの確率で失敗するのですが、その理由の一つで非常に有名なケースがあります。
それは、日本の会社が、買収してすぐに財務部や資金部などのトップを日本人に代えること。
これをやると、買収先の全員が敵になると思ったほうが良いです。
買収して真っ先に金庫を握ろうとするわけです。そして、これを当然と思う日本人の多いこと。
文化の違う相手がどう思うか考えるということが出来ない。そもそも手許現金欲しさに買収したわけではないだろうに。
外では規律正しいけど、内面はゲスな日本人がもろに出てしまうわけです。
買収してすぐに、相手を信用していない旨を宣言するわけです。
昨日の記事でも、日本では会社を売買の対象たるモノや単なる事業を営むための箱と考えるのではなく、歴史と伝統ある、「人」として捉える傾向が強い旨書きました。
そして、「家」制度の呪縛が強いですから、M&Aは会社と会社の結婚だという言い回し自体は海外とも共通するのですが、その結婚自体が違います。
我が何々家に嫁に来たからには、我が家のしきたりにしたがってもらうという、嫁いびりみたいなのがすぐに始まります。
とにかく、買収したのはこっちなんだといって、こちらのルールで人や組織を動かそうとするし、相手もそれに合わせるのが当然だろと思うわけです。
そして一番最初に、うちに嫁に来た以上はあなたの財産は我が家の財産なんだから通帳は私たちが預かりますと、姑と小姑がやるわけです。
もちろん相手への侮辱はこれで終わるはずはなく、日本流の無意味な会議と文書化の押し付けのオンパレードで、組織のモチベーションは落ちるとこまで落ちて、優秀な人間がみんなやめていきます。
自分達のやり方にプライドを持つことは否定しませんけどね。
ただ、先月から始まったF1で、メルセデスより150馬力低いエンジンで走っているホンダを見ていると寂しくて。
「自分達のやり方」にこだわるのはいいのですが、F1という舞台で世界と戦おうとするなら、優秀な技術者を外部からヘッドハンティングしてチームを作るという「世界のやり方」で行かないと。