4月14日の日記です。
今日は、キャンセルもあって休みだったのですが、ブロックチェーンの本を読んでいてずっと考えていたことがあったのでスタジオにきて記事書いてました。
自分でも書きながら本当か?という内容ですけどね。一気に書き上げました。
何やってるんだか。
それはさておき、あらた監査法人に公認会計士協会が調査に入るらしいですね。
まあ、これは仕方ないでしょう、事務的な調査だと思いますけどね。
これをきっかけに監査法人が意見不表明を連発するなんてことになったら大変ですからね。
理屈上、証拠が不十分であれば意見不表明は当然なのですが、実務的に、ないものはないのであって、いくら探してもないけど、まだ信じられないから意見不表明というわけにはいきませんからね。
根拠はないけど信じられないというのは監査契約の不履行で、ちょっと怪しいからリスクヘッジの観点から意見不表明にしておこうなんてものが流行ったら大変です。
監査証拠が不十分だというからには、どの資料が不十分なのか明らかにする必要があります。
きっとどこかに不正を指示した文書があるはずにちがいないなんて言うのは、因縁つけてるだけですし、そこまで信じられない状況であれば、監査契約を降りるのが筋です。
まあ、あらた監査法人も大変でしょうね。
ただ、S&W社の買収時の処理は、監査契約時及び監査の引継ぎ時の最重要論点の一つじゃないのかな。
追加工事費用をめぐる訴訟合戦を取り下げてもらう形で買収して、費用負担契約にサインしながら、工事損失引当金を計上しないっていうのは、よくよく考えるとその時点で怪しいですし、あれだけ原発事業が騒がれている中で、どの程度調べてから契約したんだろうか。
そこがちょっと気になる。
あと、粉飾問題後の東芝の監査委員会は、東芝OBとかではなくて、検事出身の元最高裁判事とか、弁護士とか、元トーマツの代表などの大物会計士とか、そうそうたるメンツがそろっているのがちょっと気になりますね。
彼らが強行したということは、自分達としては60万件のメール含め、あらゆる資料を出し尽くしたという自信もあるんだと思います。にもかかわらず、何が足りないんだというところでしょう。
漠然と信じられないとか、ただ疑ってるだけとかで意見不表明はダメです。四半期レビューだし。
確かに、理屈的には前期疑うのはおかしくないのですが、前期は粉飾見逃して処分受けた後の新日本監査法人が監査しているわけだから、念入りにやってるとも思いますけどね。
まあ、7000億の損失が1年後にいきなり登場して、しかも1年経つまでわからなかったなんていう内部統制だと、四半期レビューだろうがなんだろうが、「意見表明なんてできるか」と思うのはその通りだと思いますけどね。
監査法人側に分がありそうですが、やはり、粉飾を受けて一新された東芝の監査委員会のメンバーの豪華さが気になります。なんていっても、検事出身の元最高裁判事が調査を仕切って出すべき資料は全部出したって言ってるわけですからね。
いわゆるダメ会社に監査法人が引導を渡しているのではなく、ガチンコの喧嘩のようですね。しかも、やるとこまでやる気ある人達が相手です。
ここで、陰謀論好きな人のために、トンデモ論を披露します。
PwCあらた監査法人というのは、中央青山監査法人がカネボウ粉飾事件などの連続監査不祥事で崩壊する時に誕生した監査法人です。
プライスウォータハウス色が強くかなり外資のノリだった青山監査法人と、クーパーズ&ライブランドと提携していたもののバリバリ日系監査法人の中央監査法人が合併してできた監査法人です。
なので、両者の組織文化はかなり違っていて、合併後も内部では融合していなかったし、青山出身者と中央出身者も仲が悪かったのは有名です。しかも、不祥事はほとんど中央側で起きていたのも溝を深くしていました。
もちろんカネボウ事件も中央側がやらかした。
そこで、監査五部という、旧青山監査法人出身者から構成され、旧青山の中でもグローバル企業を担当していたエリート部隊が、独立して作ったのがPwCあらた監査法人。
それまでは、日本にはビッグ4と言われる監査法人がありましたが、新日本監査法人はアーンスト&ヤング、トーマツ監査法人はデロイトトーシュ、あずさ監査法人はKPMG、そして、中央青山監査法人はPwC、といった感じでそれぞれ世界のBig4監査法人と1:1の関係で提携していました。
ただ、いずれも、あくまで日本の監査法人であり、メンバーファームとして提携関係があるだけで、Big4の傘下ではありませんでした。
しかし、あらた監査法人というのは、カネボウ事件などの連続不祥事で揺れる中央青山監査法人の内部で、やるせない思いを抱える旧青山の人間をPwCが焚きつけて、独立させるのですが、PwCの日本支部として独立させます。
したがって、あらた監査法人は、日本の4大監査法人の中では、唯一の外国資本の監査法人です。PwCの日本支部です。
独立元の中央青山監査法人の監査5部のクライアントにはトヨタやソニーがいましたが、それらのクライアントを連れて独立します。
しかし、独立する時に面白いことが起きました。
中央青山監査法人には、京都事務所という中々評判のよかった支部があって、そこは、京都拠点のグローバル企業をクライアントに持つ支部でした。
京都拠点のグローバル企業ってなんだと思うかもしれませんが、京セラ、任天堂、日本電産というそうそうたるクライアントがそろっていました。
そして、京都事務所もあらた監査法人の独立に参加する予定でした。
しかし、メインクライアントの京セラの会長である稲森さんがそれを聞いてブチ切れます。
不祥事を受けて独立するのはしかたないけど、外資の傘下になるとはどういうことかとキレるわけです。
結局、メインクライアントの一喝を受けて、京都事務所は京都監査法人として独立し、あらた監査法人とは袂を分かちます(ここら辺から監査法人の独立性って何なんだと思いますけどね)。
この時の稲盛さんの指摘が顕在化してるのが今だったりして。
アメリカという国はわかりやすくて、東芝に関しては、現在建設中の原発の製造費用を出来る限り日本に押し付けることと、東芝を崩壊させて半導体事業などの技術を上手く自分たちのものにすることしか考えていません。
そして、目下、半導体事業の入札中であり、そんな状況下で、日本で唯一のアメリカの会計事務所の日本支部であるあらた監査法人が、東芝の財務諸表は保証なんてできない、決算を信じられる会社じゃないと、大騒ぎしているわけです。
これ半導体事業入札への影響とかないのかな(こういうビッグビジネスの経験はないのでわかりませんが)。
監査意見を出す前には、あらた監査法人は米国PwCの審査を通さないといけないはずです。
つまり、現場で監査を仕切っていて監査報告書にサインする日本人のパートナーが監査報告書を出そうとしているのに、アメリカ側であれこれごねている可能性だってあります(下衆の勘繰りですよ)。
こういう話をすると、会計系に多い欧米礼賛タイプの人間は、アメリカの監査は日本とは比べ物にならないほど厳しいとか言っちゃったりするのですが、あの国にあるのは、マネーゲームとパワーゲームだけです。
そもそも、監査なんて決算書の裏付け取るだけで、厳しいもなにもないですし、外国人と日本人を比べた時、絶対日本人の方が細かいですし、経営者との癒着による不祥事はアメリカにも山ほど事例があります。リーマン前の格付け機関も客の言いなりでしたしね。
外資の看板にホイホイしっぽ降る人間に、稲盛さんが怒るのも当然で、そんなに差なんてないです(これは会計基準も同じでUSGAAPやIFRSが「優れてる」とか言う人いますけどね・・・)。
いずれにせよ、日本もアメリカも大事なところは下々には見えない空中戦で決着します。
政治家や大企業や会計事務所のトップは「チームUSA」でみんながっちり握ってます。今頃ハーバードの同窓生会館とかでワインかなんか飲みながら東芝をどうするか話しているはずです。
アメリカの監査は超厳しいって、もしそうなら2015年度の粉飾問題とウェスチングハウスの業績低迷であれだけ騒がれてる中、東芝の監査をなぜ引き受けたんでしょうか。そもそもなぜ7000億円に気付かなかったんでしょうか。
今期計上する7000億の一部を前期計上すべきだったなんて、一年前の財務諸表が変わるだけで、今期末の数字は結局同じになるんだから、新生東芝イメージを優先して、麻生さんあたりに電話一本いれて、東芝幹部と安倍政権と監査法人幹部で握って意見だしちゃえば良いのにと思うのですが、残念ながら、あらた監査法人の時だけはそれが出来ません。
東芝という死に体の会社にハゲタカが群がっていますが、アメリカか送られた刺客の第一号があらた監査法人だったりして。
まあ、私が東芝監査チームにアサインされて、君は原発部門担当ねなんて言われたらその場で辞表書くと思うので、こういったくだらないことしか言えませんけどね。