よくこんな面白い問題作れますね。
平成20年度からセンター試験が新しくなり、一部記述式になったりします。
そこで、どんな問題にするか検討するための試行調査ということで、昨年末に2回目のプレテストが、高校生約7万人が参加して行われました。
その結果が先日公表されたのですが、数学1・Aで平均点が3割以下と、新テストの構築に相変わらず苦戦しているようです。
とうわけで、最近モンティホールの問題の記事を書いたばかりということもあり、テストの中の確率の問題だけ見てみました。
そうしたら面白い良問だったので紹介します。
ちょっと怪しい説明しますが、長々と数式書く気はないのでご了承ください。
問題はいたってシンプルです(公式の問題と解答はこちら)。
箱が2つあり、それぞれに100本ずつくじが入っている。
100本のうち、1つの箱には10本の当たりが入っており、もう一つの箱には5本の当たりが入っている。
太郎君と花子さんは、一方に10本、他方に5本というのは知っているものの、箱の区別はつかない。
まず、太郎君が適当に箱を選んで、1本くじを引いたら、運よく当たりでした。
では、その場合に、次にくじを引く花子さんは、太郎君があたりを引いた箱と、もう一方の箱、どちらからくじを引いた方が当たる確率が高いかという問題。
見た目の区別はつきませんが、10本入ってる箱をA、5本の箱をBとします。
感覚的にわかると思いますが、太郎君が当たりを引いた場合、太郎君が運よくAを選んだ可能性が高いので、花子さんはその可能性に懸ける方が、当たる確率は高そうです。
式で書くと、当たりの本数は10:5、つまり2:1ですから、太郎君が当たったことからすると、太郎君が選んだ箱がAである確率は2/3です(厳密な式省略;本当はここが一番大事なんですが)。
逆にBであった可能性は1/3です。
したがって、花子さんが同じ箱を選んで当たる確率は、
2/3 × 9/99 + 1/3 × 4/99 = 2/27
太郎君と異なる箱を選んで当たる確率は、
2/3 × 5/100 + 1/3 × 10/100 = 2/30
2/27 > 2/30ですから、直感通り、花子さんとしては、当たりを引いた太郎君と同じ箱を選ぶ方が当たる可能性は高くなります。
しかし、2/27と2/30、想像より僅差であることが、ある意味この問題のスタートです。
そこで、二人は、Bの箱の当たりを5本よりも増やしてみることにします。
そして、後続の問題ではまずは7本の場合を考えてみるという問題になります。
これも直感的には、花子さんは、当たりを引いた太郎君と同じ箱を選んだ方がよさそうです。
計算してみます。
箱Aに当たりは10本、箱Bに当たりは7本で、当たる可能性は10:7ですから、太郎君があたりを引いた場合、その箱がAであった可能性は10/17であり、Bであった可能性は7/17となります。
したがって、花子さんが同じ箱を選んであたりを引く可能性は、
10/17 × 9/99 + 7/17 × 6/99 = 4/51
異なる箱を選んだ場合は、
10/17 × 7/100 + 7/17 × 10/100 = 7/85
そして、なんと、直感とは異なり、7/85 > 4/51(≒6.6/85)ですから、花子さんは箱を変えた方が、当たる可能性は高くなることになります。
これを言葉で説明するのは難しいですが、10本と7本にして、箱の差を縮めると、当たりが一本出てしまった箱に挑戦する不利の影響の方が大きくなるわけです。
10本と5本:同じ箱が有利
10本と7本:箱を変える方が有利
そして、もちろん、最後の問題は6本の場合はどうなるかというものです。
同様に計算すると、当たる確率はそれぞれ5/66と3/40になります(約分しない方が良いのかなこれ)。
ここで、3/40 ⇒ 4.5/60 ⇒ 4.95/66ですから、5/66 > 3/40 (=4.95/66)となり、超僅差(パーセントで言うと0.07%差)で、同じ箱を選んだ方が有利となると結論付けられます。
以上の流れが、太郎君と花子さんの会話の穴埋め問題となっていて、うまく誘導しながら解かせるようになっています。
問題文の細かい誘導は書きませんでしたが、この問題、条件付確率という分野の基礎が1問に詰まっている問題です。
この分野を分かっているかどうかがよくわかる良問だと思います。
早く正確な計算力をちゃんと試しているところも、すごい(全体的な時間制限は相当厳しかったようですが)。
結果も面白いし。
ニュース見て、問題みてみたら、ちょっと面白かったので、急ぎ記事にしてしまいました。
やっぱり、大学の先生方は頭いいですね。
感心。