この問題はじっくり考えたいのですが、とりあえず備忘録的に。
今、メルカリがすごいことになっていますね。
メルカリとは、ヤフオクみたいなフリーマーケットアプリで、不要になった衣類などを出品して、ユーザー同士で売買するアプリというかSNSです。
ブランド物で不要になったもの、何回か着たけどやっぱり要らないとなった服など、業者に買い取ってもらうよりはだいぶ高値で買い手が見つかるらしく、若者の利用率は相当高いみたいですね。
まあ、そもそも何をいくらで売ろうが自由なわけですから、3月には制服を出品する女子高生が大量に発生してしかも超高額で取引されていたり、写真を見るとiPadのようで実は送られてきたのは写真通りの箱だけという詐欺とか、宛名なしの高額の領収書が高値で売買されていたり、送料込み数百円で離婚届がバカ売れとか(役所に取りに行くのが面倒&A3プリンター持ってない人向け)、まあおもしろい闇市場と化しているわけです。
そんなメルカリで、とてもおもしろいことが起きています。
事の発端は現金の出品が大盛況になったこと。
5万円を6万円とかで出品する人が出てきて、しかもすぐ売り切れるので、続々と現金を出品する人が増えました。
クレジットカードのキャッシング枠を使い切ったけど、ショッピング枠なら残っていて、今すぐ現金が欲しい人が、1万円札5枚をクレジット払い6万円とかで買うわけです(直ぐに現金書留で届くけど支払いは翌月末とかなので)。
カード会社に回収リスクを転化させて貸金業を行うという禁じ手ですね。
メルカリでは、規約上、金券類の売買は禁止していたのですが、貨幣(硬貨もしくは紙幣)そのものは禁止されていなかったため、こういうことが起きたのですが、さすがに直ぐに貨幣の出品を禁止します。
そしたら、今度はチャージ済みのスイカなどの電子マネーを売る人が現れました。
ただ、スイカの場合、金券類の定義に該当することは明白なのですぐにメルカリでも禁止されます。
そしたら、来ました、魚のオブジェ。
ただ、これもうまく考えましたが、オブジェだろうが芸術だろうが、紙幣ですので、禁止です。
もう次はないかなと思っていたら、すぐに下記のような出品が登場しました。
ビー玉をパワーストーンと称し1万5千円くらいで売って、キャッシュバックの1万円札と共に書留で送るわけです。
キャッシュバックは自由ですから、メルカリはどうするんでしょうかね。
まあ、メルカリのプラットフォームで取引する以上、厳密に法律違反かどうかは関係なく、メルカリが独自ルールを作ることに問題はないわけで、キャッシュバックを禁止しても普通の利用をする限りにおいて不満も出ないでしょうから、キャッシュバックも規制されるんでしょうかね。
そうすると次は何が来るんでしょうか。
メルカリで闇市場が発生しているとは言われていますが、こういう仮装した金融取引というのは昔からあります。しかも合法的に行われているものもたくさんあります。
お金はあるけど大っぴらに貸すことは出来ない会社の代表が証券会社。
いろいろな理由から、銀行と証券会社というのは明確に分離されていて、貸金業が出来るのは銀行だけで、証券会社はいくらお金を持っていても貸すことは出来ません。
そこで登場するのがレポ取引というものです。
証券会社はお金の貸し借りは出来ないのですが、証券(株や債券)の貸し借りは出来ます。
信用取引で空売りなんていっても、売る以上は買い手に証券を引き渡さないといけませんから、どっかから証券を借りてきてそれを渡す必要があります。
そのため、証券会社間での証券の貸し借りは活発に行われていましたが、当然貸しっぱなしでは危ないので、貸した証券を確実に返してもらえるように、現金を担保で預かります。
もちろん、貸した証券が帰ってくれば、担保のお金は預かっている間自由に使えたわけですから、担保金利息を付けて返します。
つまり、やってることは証券と現金の交換です。
この取引を利用するのがレポ取引です。
つまり、証券を担保にお金を貸し借りするのはできないのですが、お金を担保に証券を貸し借りするのは問題が無く、両方とも実態は証券とお金の交換で何も違いはありませんから、現金担保の証券貸借取引と称してお金を貸し借りをするわけです。
これがレポ取引です。
ちなみに、100円で証券を売って、1か月後に120円で買い戻すという契約をするのが現先取引(げんさきとりひき)。
これも、現在の売買と将来の反対売買の約束でしかなく、買った株を後日売るのは自由ですから、形式上はお金の貸し借りではないということで認められています。
ただ、レポにしろ現先にしろ、取引した時点で、約束した将来の期日にお金が戻ってくるのが決められていますから、契約上はお金の貸し借りではないにしろ、実態的にはお金の貸し借りでしかないということで、いろいろ規制されています。
個人的には、メルカリ上での金融取引もこれに落ち着くのではないかと思います。
今はお金のやり取りだけしているから規制しようと思えば規制できますが、お金と一緒にモノまで動くようになると、規制できなくなる気がします。
もちろん、現先取引のように、出品時に、翌日に買い戻しますなんて約束してしまうと事実上の金融取引として規制されるでしょう。
しかし、売った側が後日返品に応じるのは自由ですから、メルカリ上でビー玉をパワーストーンと称し1万5千円で売却するのですが、もし効果が無ければ1万円で買い取り保証を付けますなんてやった場合、さらにビー玉じゃなくて本当に価値のあるもので取引し、買取保証の規約も、未開封1万円、開封済み9000円、数回使用8000円なんてそれっぽい規定を作った場合、規制できなくなるんじゃないかな。
売った時はカード使ったんだから、買取もカードで行わないといけないなんてルールはありませんからね。
さらには、パワーストーン買い取り業者役を用意して、そこが発行した、期間限定買取金額保証付き鑑定書付きのパワーストーンと称するビー玉が売られる日も近いかな。
買い取る場合はそこが即金で買い取ると。
しかもこれがパワーストーンではなく本当に価値のあるブランド品だとどうやっても規制できない気がします。
さて、どうなるでしょうかね。
今後が楽しみです。
なお、現金の出品の規制は、マネーロンダリング防止の観点が強いみたいですね。出品の記録が残るのであまり心配はしなくても良い気がしますけどね。どうなんだろうか。
マネーロンダリングというのは、麻薬の密売等で得た不当な金銭を洗浄するのが典型です。
なかなかわかりにくいかもしれませんが、麻薬を密売して現金が手元にたくさんあるとします。
現金ほど管理に困るものはないのですが、いきなり多額の現金を銀行に預けようとすると、怪しまれて、直ぐに調査の対象になります。
そこで、よくやるのが、水商売系のお店の経営です。
現金商売ですから、毎日少しづつ売り上げを水増ししてレジに入れます。
そうすると、当然税金は余分に払うことになるわけですが、麻薬の密売で稼いだお金が、正業から生み出され、しかも納税後のクリーンなお金に化けますから、晴れて何の心配もなく自由に使えます。
他にも宝くじの売買という古典的な方法もあります。
もしみなさんが宝くじで5億円とかが当たったら舞い上がってすぐに換金してしまうかもしれませんが、その当たり券を悪い人達にもっていけば、5億5千万円位、即現金でくれるかもしれません。
表に出せないお金を5億円分、難しい仕組みなしで、一気にロンダリング出来るのであれば、5千万円の手数料くらい安いものです。
まあ、今度は自分が、手にした5億5千万円の処理に困るかもしれませんし、何故か偶然その日の夜に強盗に襲われて根こそぎ持っていかれると思うので絶対にやめた方が良いとは思いますけどね。
ここら辺の苦悩はブレイキングバッドが詳しいですかね。