BBCはOrder and Peaceと訳したようですね。
元号が「令和」に決まりました。
私は気に入りましたが、諸外国のマスコミは訳というか解説に苦戦しているようですね。
中でも、漢字の母国である中国では、令は零と同じ発音ということもあって、「平和ゼロ」「平和な日は無い」とは日本らしいとか、令は使役(~させる)の意味を持ちますから、「平和にさせる」「平和の強制」とは日本らしいなどと、面白い批判をしているようです。
それにしても、新元号「令和」の出典は万葉集とのことですが、「和」の意味はなんとなく分かるとしても、「令」という字、凛とした響きや文字の形は好きですが、命令とか法令とかそういう使い方が主流で、文字の意味を今一つ知らないので、手元にある漢和辞典で調べてみました(大修館の新漢語林と学研の漢字源と三省堂の漢辞海)。
まず、この令という字。
「令」は会意文字らしく、つまり、複数の、象形文字などの意味のある字を組み合わせて特定の意味を持つように作られた漢字です(怪異文字の典型は人が木に寄りかかる様子から「休」とか)。
「令」という字の上の部分は「△」もしくは「人」で、下の部分が「卩」です。
共に象形文字で、上の「△」は人が集まる様を表し、下の「卩」は人がひざまずく様子を表している字です。
つまり、この二つの組み合わせで、「人を集めて神意を伝える様子」や「人々がひざまずいて神意に耳を傾ける様子」を表しているようです。
そこから、第一義的に、神のお告げに近い意味での「勅令」といった使い方が生じ、少し俗っぽくなり、上からの指示ということで法令や命令となります。
また、三国志なんかによく出てきますが、「県令」などのように「長(おさ)」という意味にもなります。
しかし、神意や神事といったイメージから、澄んでいる、清らか、美しいという意味が派生するようです。
そこから、ご令嬢・ご令息・令夫人などの敬称、令徳(立派な徳や美徳)・令名(立派な名前や良い評判)、令月(物事をするのに縁起の良い月)・令節(めでたい季節)といった使い方が生じます。
また、「亻(にんべん)」を足した「伶」は、澄んだ音を奏でる演奏者の意味となり、「玉(たまへん)」を足した「玲」は美しい玉の意味であり、「怜」は心が澄んでいる様から転じて「さとい・かしこい」の意味となり、「冫(こおり)」を足した「冷」は氷のように澄んでつめたいという意味になっています。
このように、「令」という感じには、上からの命令という意味だけでなく、その意味の語源たる、神意・神事から転じて、清らかで美しいという意味があります。
そして、語源的に、「清らか」や「美しい」も単に「キレイ」というだけでなく、「こうごうしさ」や「厳粛さ」をもった「美しさ」を表しているのかと思われます。
よく知らなかっただけで、とってもいい字なのかもしれませんね。
「和」という文字の持つ「なごみ調和して穏やか」という意味とも合わせて、「人々が美しく心を寄せ合う」(安部さん談話から)という意味も理解できました。
平和で良い時代になるといいですね。