日本の読解力がOECDによるPISA調査で15位に低下


こんな国際比較に一喜一憂してどうするのかと思いますけどね。

昨日、OECDによる国際学力調査の最新結果が公表されました。

項目は、読解力、数学、科学の3つで、数学と科学は従前どおり6位と5位で高かったものの、読解力は前回の8位(前々回は4位)から大幅に低下して15位になったそうです。

PISA調査 日本の読解力低迷、読書習慣の減少も影響か

それについて、例の如く大人たちがああでもないこうでもないと議論を始めました。

まず、この国際学力調査で言う読解力は、いわゆる読解力、すなわち文章に書かれたことを読み取る能力だけではないのに注意が必要です。

連続テキストと呼ばれる、いわゆる長文だけではなく、非連続テキストと呼ばれる、グラフや図といったデータも題材に組み込まれていて、それらを分析すると、合理的に何が推論できるかという能力も試されています。

さらに、推論をまとめた上で、評価・考察して自分の意見を書くことも求められているとのこと(文科省のページ)。

これを読解力と呼んでしまうと、ますます読解力に関する議論が混乱するような気がします。

文科省によると、日本は、自由記述式の問題で伸び悩んだそうで、OECD平均を2割下回った問題もあり、自分の意見を根拠をつけて述べることが苦手とのこと。

そう、このテストは、選択式の問題もありますが、記述式の問題もあります。

今のタイミングになって、国際調査の発表を受けて文科省が発表。

日本は記述式問題が苦手。

さあ、世論はどうなるんでしょうか。

やはり、試験は絶対的に平等であるべきと、新センター試験での記述式導入は反対なんでしょうか。

そう考えると、そもそも記述式の採点は絶対に公平にはできないらしいですから、この国際調査の結果も気にしないでいいのではないでしょうか。

このテストは、各国が母国語でやってますし、おそらくバイトが採点していますから、採点の甘い国があったり、いい加減な採点がされたり、全く信用できないのではないでしょうか。

中国なんて、成績が悪かった地域の役人の首はすぐに飛ばされますから、あの手この手で甘い採点がされていてもおかしくありません。

私は、平均に注目した教育方針は今後必要ないと考えているので、この国際調査の結果を受けて、何か教育方針を変えるなんてことは必要ないと思います。

テストはパソコン上で行われていて、紙の試験と違って鉛筆やマーカーでチェックしたりできないので、パソコンを利用した試験になれていない日本の生徒は結構苦戦したらしいですが、だからといって、パソコン上のテストの訓練を増やして、いい点数取っても仕方がないと思いますしね。

そういう意味では、パソコンテストへの慣れが結果に影響しているのであれば、それこそ、この国際調査の結果など当てになりません。

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私が、国際調査の結果を見て面白いと思ったのは、読解力、数学、科学の3つとも、上位勢は、中国、シンガポール、マカオ、などのアジア勢なこと。

そして、面白いことに、アメリカ(フランスやイギリスも)が3つのどれでもトップ10に入っていないこと。

日本が目指すのはどこなのか。

考えてみると、中国などの絶賛発展中の国や、シンガポールやマカオのように国が一丸となって経済成長を維持しないといけないような小さな国というのは、国の経済成長に貢献する人間を育成しないといけないので、まさに学校は工場であり、読解力や論理力といった項目の集団的な訓練に力を入れています。

そりゃ、こういった集団調査をやれば、上位に入るに決まってます。

中国なんて、部活なんてもちろん無いし、先生が体育や音楽の授業を潰して数学の授業とかやっていて、学生はみんな日本やヨーロッパの学生をすごい羨ましがってるんだから。

その一方で、分離問わず学問、スポーツ、芸術、全てにおいてトップを走っているのはアメリカ。

日本も昔は中国のようだったけど、もう先進国になっちゃったんだから、アメリカみたいに、各自がそれぞれの才能を伸ばせるような国になっていかないといけないと思います。

アメリカは、メジャースポーツもすごいけど、どんなマイナースポーツでもオリンピックとかでは上位に食い込んでくる底力があるし、また、オリンピックに出るような選手たちはどんな競技であれ、いい暮らしをしている(たぶん)。

日本みたいに、限られたメジャー競技以外はトップ選手でもバイトをしているような状況ではない。

そういう国にならないとダメなんだと思うけどな、先進国になった日本は(30年位前からこの変化が求められているのに・・・)。

起業家からノーベル賞科学者からYoutuberからプロゲーマーまで、どんな分野にもきらめく才能がいる、そういう国にすることが大事。

平均的な学力なんて、先進国の平均位にあればいいんじゃないかな。

これは、経済の話も同じ。

格差社会や労働者の幸福度の低さなどが問題になっていて、要するに、一人当たりGDPとか、平均給与などの全体の平均値の分析をしても解決につながらない問題の解決が課題。

教育だって、平均値がある程度の水準にあれば、後は国際順位がどうのこうのではなく、優秀な子が平等重視の教育制度に足を引っ張られていないか、他方、基礎的な文章も書けない子が、数学の公式や古文の活用などを念仏のように暗記する作業に追われて意味のない勉強をしていないか、そういった視点が重要。

優秀な子はどんどん挑戦・成長できる環境を作る。

その一方で、できない子には、これまでのようにかたくなにアカデミックな内容を、教養だ何だと押し付けるのではなく、社会で落ちこぼれないように、実生活で役立つ最低限の知識を身に着けるようなカリキュラムにしていくことが重要かと思います。

平均値の分析、しかも国際順位なんて、本当にどうでもいいと思いますけどね。