弱冷房車から国民を守る会


私も当選できるかな。

前回の参議院選挙から、巷をにぎわせている通称N国こと、NHKから国民を守る会。

党首の立花孝志さんは、なんと比例で99万票を集めて当選しています。

そして最近ではマツコ・デラックスさんと喧嘩をおっぱじめて注目を集めています(現状一方通行だけど)。

まあ、マツコさんとの喧嘩やそれに伴う崎陽軒のシウマイの不買呼びかけとかは完全に炎上商法です。

というかプロレス。

崎陽軒の不買運動の呼びかけなんてかえって逆効果では?と言っている心が純粋な人にはわからないかもしれませんが、崎陽軒の売り上げが逆に伸びることなんて当然織り込み済みだし、MXテレビに押しかけて押し問答をして、批判的な人たちは営業妨害だなんて言ってますが、MXテレビの五時に夢中なんて番組、知らない人の方が多いんだから、MXテレビの人も喜んでいるはず。

とにかく話題に上がって、その内の数%でもいいから、本当の争点・主張を理解してほしいのでしょう。

マツコさんは、テレビでこの人を気持ち悪い、そして、票を入れた人たちはどうせふざけて入れたんでしょ、的なことを言いました。

まあ、この人が下品で胡散臭いのは間違いないのですが、N国に票を入れた人たちがふざけているかと言えば、それは間違いです。

マック赤坂氏があれだけお金を使い、メディアに露出したのに、何の議員にもなれませんでした。

その点、この立花氏は、比例で99万票集めており、ちゃんと支持者がいるし、今も広がっています。

テレビでほとんど取り上げられずにYoutubeだけでここまで来たんだから、大したもんどころか、恐ろしい実力者です。

調べてみると、ものすごく戦略的に行動している人です。

ふざけた票だけで99万票、すなわち2%近い得票なんて取れません。

投票に行く人はみんなそれなりにまじめに行動しています。

「NHKをぶっ壊す」、「おれは絶対に受信料を払わない」といった主張ばかりメディアで流されるせいで、国政のことはよくわからんけど自分もNHKに受信料払いたくない、自分はNHKなんて見ないのに受信料強制はおかしい、なんて層が票を入れていると思ったら大間違い。

よく聞くと非常に興味深い主張をしている政党なのでちょっと紹介してみます。

このN国という政党の究極的な理念は、直接民主制の導入です。

まあ、一般的に直接民主制をどこまで制度として落とし込むかについては、未来としては遠すぎて考えていないでしょうが、その突破口としてNHKを取り上げているだけです。

NHKをスクランブル放送(受信料を払った家庭にだけ電波を送る仕組み)にすることについて、NHKの行ったインターネット調査では88%が賛成しています。

にもかかわらず、なぜ、その方向で政治が進まないのか、それどころか議論すら起きない、そこを問題にしています。

国民主権なんだから、国民の多数決で政策を決めるのではないのかと。

したがって、N国に言わせれば、原発も、消費税も、年金も、国民が決めるべき問題であり、というか、政策ごとに国民の意向が反映される政治の仕組みを作ることが目標であり、政党としてどうすべきという見解は持っていません。

政党を選べと言われても、個々の政策ごとに完全に方針が一致する政党なんてほとんどの国民にとっては存在しませんし、そもそも地元の議員と政党間に齟齬があるのが普通で、それが間接民主制の当然の帰結ではありますが、そこがおかしいと主張しているわけです。

先日の参議院選挙の時も、マスコミから、憲法改正に賛成か反対かと問われて困っていましたが、それは国民が決める問題なんだから、個々の改正案についてとっとと国民に聞けというスタンス。

そして、その国民の意向で政策が決まる仕組みの一里塚として、まず国民の多数派が望んでいるNHKのスクランブル放送を実現すると言ってます。

この、国民の大多数が望んでいることがなぜ実現されないのかという問題提起は非常に面白いと思います。

おれはNHKは見ないから受信料を払いたくないとか、そういう次元の話はしていませんし、支持者もそういう理由で投票しているわけではありません。

間接民主主義が本当に機能しているのかという根本的な疑問を投げかけています。

また、NHKには二つの側面があって、国民の多数派が否定的であるにもかかわらず全く見直されていない法律の筆頭という側面と、もう一つ、その国民自身を誘導するマスコミの親分の一人という側面があります。

テレビというのは、すさまじい影響力を持っています。

テレビなんて見ないという層も増えましたが、まだまだテレビの影響力はすごいものがあると言われています。

マツコさんとの喧嘩でも、批判は構わないが批判するなら自分にも反論する機会をよこせとMXテレビに乗り込んだことを、一部の人たちが、「私人の言論を権力者たる政治家が封殺しようとするのはいかがなものか」という批判をしていますが、立花氏はそれに対して、それは違う、政治家なんかよりテレビの方が圧倒的に力があると主張しています。

実際、多くの有名人が、MXテレビに乗り込んだことを批判し、下品だとかいろいろ批判しており、立花氏の主張を良く知らない層を中心に、そういった世論が形成されつつあります。

しかし、芸能人とは言え、公共の電波を使って政党を批判する、これがどれだけの影響を及ぼすかを考える時、確かに批判された政治家に反論の機会を与えないというのはおかしな話です。

誰だって政治の批判をしたってかまいませんが、相手側には一切反論させないとか、コメントの紹介だけで終わり、残りの時間は芸能人たちが袋叩きというのはいかがなものかと思います。

そういう状況が放置されているため、特定の候補者を当選させたり落選させたりなんて、テレビにとっては簡単な話で、政治家は皆マスコミを恐れて正面からの批判はしません。

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若手議員なんて、若手とは言え数十万票の得票を得てその地位になったのに、テレビに出れば芸能人に偉そうな口を利かれてもへらへら笑うしかありません。

つまり、テレビの方が政治家よりも力が強いというのはその通りです。

また、読売新聞のナベツネさんとか、なんで政治家にならないのかと言えば、そりゃあ、政治家より力持っているからです。

そういうメディア権力を牛耳っている人たちに、受信料が流れているわけです。

そして、上層部に逆らった奴や台本にない発言をした人間は二度と出れないというルールが当然のように蔓延しており、莫大な受信料収入は、既得権益層の固定化に使われています。

その状況を変えるべく、NHKをぶっ壊すと言っているわけです。

国民の声を無視するメディアには国民が引導を渡すという社会の一里塚としてのNHK解体です。

だから、相手がNHKではなくMXだとしても噛みつくわけです。

上述の直接民主制の導入だって、マスコミの影響力をこのまま放置しておけば、何の意味もなくなります。

いい加減、テレビの偏向報道にはうんざりしている人が多く、そういった層が、この党首の下品さなどを重々承知した上で、マスコミを変えないと国が変わらないと、この政党に1票を入れているわけです。

しかも、Youtubeだけで99万票集めるところまで来ており、この政党の支持層は周りが思っているより固いはずで、下品な炎上騒動なんかでは離れないと思います。

マスコミ権力の強大さを知っている人ほど、ネガティブ情報は全て立花つぶしキャンペーンに見えるはずで、そこで揺れたらマスコミの思い通りと思いますからね。

なんだか、令和という新時代の幕開けに当たって、とんでもない人が登場してきました。

日本版トランプになるかもしれません。

トランプとは全然違う、いくらなんでもこんな下品じゃないなんて声が聞こえてきそうですが、他人事として見ているからそう見えるだけで、最初から近くで見ていれば、そういう人物が大統領になってしまったから、アメリカではあそこまで拒否反応が強いんだと思います。

トランプ現象やブレグジットのように、知識人と言われている人たちが、どうしてこうなったと口を開けて呆然と立ち尽くす日が来るのも案外直ぐ来るのかもしれません。

この人の賛否を巡る議論が既にトランプの賛否の議論に近づいている気がします。

なにより、マスコミ批判なんて、マスコミが中立か偏向かなんて本質的に明白な線を引ける問題ではありませんし、過去の歴史に照らすと、電通が世界を牛耳っている的な陰謀論やマスコミは政権の言いなりといった陰謀論と相性が良く、一気に大衆の支持を受ける可能性があります。

しかも、マスコミの偏向報道や、特定の権力に牛耳られているという話は、実は右派左派双方が主張していて、一般人には本質的にわかりえない話だけに厄介です。

さてどうなるか。

私としては、直接民主制には基本的に大反対の立場です。

しかるべき人達が間に入ってうまく全体調和を図るべきと思うのですが、しかし今や肝心なエリート層の人たちが、時代遅れの人権神話や社会思想をただ覚えて掃き出すだけのオウムのような秀才の集まりになっており、最近話題の表現の自由の問題ではありませんが、一部の少数派が宗教化した理念を片手に国民の多数派意見を封殺している状況には我慢がなりません。

また、政治家がマスコミに怯えているという現状は確かに受け入れられません。

個人的には、直接民主制には反対なんだけど、200年前のフランス革命でも現在の香港でも、多数派の不満が行くところまで行ってから爆発すると歯止めが利かなくなりますから、おかしなところを変えるのは早ければ早いほど良いかと思います。

そういう意味では、Youtube一本でのし上がり、まったくテレビのキャンペーンの影響を受けない政治家が誕生したことには、正直期待を持っています。