イギリスのEU離脱


離脱で決まりましたね。

私は幼少時代から団体行動が苦手なので、みんなで仲良くしましょうみたいな雰囲気ははっきり言って嫌い。

なので、EUをめぐる、ヨーロッパでは近所の国同士が一つになって仲良しこよしで美しいね的な論調も嫌い。

イギリスがEU離脱。

ほら見たことか、という感じです。

近所との距離はほどほどが一番。

一定以上近づこうとすると、最初は良いけど、良いのは最初だけで、自分が当事者になるかどうかは別として、すぐにどこかで厄介ないさかいが起きることになるなんて、大人なら誰でも知ってるはず。

ヨーロッパ共同体みたいな思想自体は古くからあるにせよ、EUが出来るきっかけは1989年末のベルリンの壁崩壊。

冷戦が終わったー、やったー、と世界中が喜んでいる中で、一人大喜びしなかった人がいるらしい。

それが鉄の女サッチャー。

この超現実主義者だけは、ベルリンの壁崩壊後の統一ドイツ成立を冷徹に見据えて戦々恐々としていたとのこと。

ヨーロッパのど真ん中にあの国が戻って来るのかと。

正直この感覚はヨーロッパ人にしかわからないでしょうね。

そこから、超駆け足で話が進み、どう考えても拙速すぎるのに、約2年後にはマストリヒト条約が締結され、事実上のEU発足。

目的は、各国が政治的主権を維持しつつも、経済は一つ。

対アメリカ、対アフリカ、体アジアとしての、ヨーロッパを作ること。

しかし、本当の目的はドイツの手足を縛ること。

そうはいっても、世界最強の金融センターであるロンドンを有し、世界の覇権を握り続けたいイギリスとしては自分が縛られる気はない。

対アメリカ、対アフリカ、体アジアのアイデンティティーとしてのヨーロッパには共感するけど、域内には歴史、言語、民族、宗教が複雑に入り乱れて各国のアイデンティティーの衝突がとまらないヨーロッパの中で、常に覇権を持ち続けた大英帝国の誇り。

そしてそれを支える現実主義。

歴史の濁流の中を生き残り続けた彼らが見ているのは夢ではなく現実のみ。

人類が目指すべき理想郷としてのユナイテッド・ステイツ・オブ・ヨーロッパなる思想にそもそも興味はなく、ましてやEU内で、ギリシャやスペインやポルトガルといったのんびり国と平等の1国になる気などさらさらないし、それらの国に足を引っ張られる気もない。

しかし、メルケル率いるドイツが、理想主義全開のリベラル一直線で、移民大歓迎をはじめとした、もっと自由と平等あふれる一つのヨーロッパに向かいましょうとEUでのイニシアチブを発揮して、それに域内の多くの夢見るインテリたちが追従し、あの手この手で、仲間だか仲間じゃないんだかよくわからない態度をとってきたイギリスにも、みんなで仲良く助け合おうよと、それなりの負担を求めるようになってくる。

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イギリス的には、ちょっと勇み足はあったにせよ、自国が覇権を握り続けるための現実主義的な回答としてのEUだったのに、みんなで仲良く助け合うのは美しい的な連中にEUが乗っ取られて抑えが効かなくなり、しかもその中心にいるのがドイツ。

我慢がならなかったのでしょうね。

もちろん、対世界では、ヨーロッパとして一つにまとまらなくてはいけないのはよくわかっているのでしょうけど、だからと言って、ドイツが仕切るリベラルヨーロッパ連合の一国になり下がるのだけは、誇り高き大英帝国としては認められなかったのでしょう。

このグローバル社会で成長を遂げているのは、アメリカと中国で、口では自由貿易なんて言いながら帝国主義全開で行かないと成長なんてできるわけないという現実が見えてるのだと思います。

EU帝国の盟主ならべつでしょうが、仲良しEUの一員になる気はないのでしょう。

それにしても、EUなんて最初からうまくいくはずないと考えると、その理想的な部分を徹底するのが一番崩壊を早める手段ともいえる。

一番うまくやったのはドイツだったりして。

以上はほとんど妄想に近いですが、考えれば考えるほど、自分がヨーロッパというものを何も知らないことを思い知らされます。

どっかで誰かが、セルビア人の若者がオーストリアの皇太子を暗殺したことで、何故日本まで巻き込まれる大戦争になったかを分かっている人は少ないと言っていた気がします。

確かにさっぱりわかりません。

なんて思っていたら、アマゾンプライムで黙示録が見れることが分かりました。

これで勉強したいと思います。