ユニクロは情報製造小売業を目指す


とのことです。

先日、ユニクロの柳井社長が、東証で行われた決算会見で、ユニクロは情報製造小売業となる、アップル、グーグル、FB、アリババ、テンセントと組むという話をしました。

柳井正ファストリ社長「アップル、グーグル、FB、アリババ、テンセントと組む!」

そうはいっても、情報製造小売業って何だろうって感じなので考えてみます。

柳井社長曰く、情報を商品化する企業になる、ということらしいです。

なんのこっちゃと思いますが、背景は、私が思うに、IT企業の止まらない成長の中で、情報がモノの価値を決めるという当たり前のことが強く認識されるようになったということなんだと思います。

ここで、価値という言葉は色んな意味にとれるので、モノの本質的な価値と、流行などによって決まる消費価値を分ける必要があります。

そうすると、「情報がモノの価値を決める」というのは不正確で、「情報がモノの消費価値を決めるのであって、モノの本質的価値が消費価値を決めるわけではない」ということなんだと思います。

みんなが欲しがれば、そのモノの本質的な価値なんて誰も気にせず、価格は上がってよく売れます。

良いものかどうかではなく、その商品に関する良い情報が流通しているか悪い情報が流通しているかが、商品のニーズを決め、価格を決め、結果としてビジネスの結果が決まる。

つまり、情報を支配する企業がビジネスを支配するということなんでしょう。

もう少しかみ砕いていきます。

情報空間にはいろいろあります。

Googleが支配する何かを調べる空間。もちろん、私たちは調べることの方が多いですが、ブログやHPなどを通じて、情報を提供する側にもなれるようになりました。

FacebookやLINEが支配する友人同士のコミュニケーション空間。私たちの生活に占める情報のやり取りは、ネットでニュースを見ている時間ばかりではなく、友人同士のコミュニケーションなども多いです。

他には、YoutubeやAmazonのようなコンテンツ企業が提供する、情報を楽しむ空間。まあ、Amazonは微妙ですが、音楽や動画の配信もしていますし、単にモノを売っているだけではなく、買い物というのはレジャーのようなもので、私たちは、商品比較や他の購買者のレビュー、アフィリエイターたちの商品広告記事を、知らず知らずのうちに楽しんでいるわけで、関連する情報を閲覧している時間の長さを考えると、コンテンツ企業に入れてもよいと思います。

こういった情報空間に飛び交う情報がモノの消費価値を決めます。

実は、これは昔から言われていました。

質の良い商品を作っていれば売れる時代はとっくの昔に終わっていて、広告など消費者への認知方法が悪いと、いかに商品がよくとも、劣ったライバル商品に負けてしまうことが多々あるのは誰でも知っています。

今の時代は広告が重要、これからはマーケティングの時代だなんて、ここ数十年来さんざん言われていました。

最近では、SNSなどのITメディアを駆使して、芸能人とかではなく、ユーチューバーなどネット上の有名人、いわゆるインフルエンサーという人たちを使った新しいマーケティング手法もたくさん生み出されています。

ヒット商品がでると、その商品の内容と同じくらいマーケティング手法にも注目が集まります。

しかし、マーケティングの重要性を認識しつつも、その先の将来が見えていたのはごく少数の人たちでした。

多くの人たちが、IT企業のビジネスを、IT空間という、バーチャル空間内での遊びのようなもののように認識していました。

IT空間というチャラチャラした空間も、マーケティング上無視できないから積極的に活用していこう程度の認識でした。

製造業の人たちなんかは、自分達はモノづくりというリアルなビジネスをしているから、IT関連の連中とは、別次元のビジネスをやっていると考えていました(しかもちょっと得意げに)。

ITの連中とは、マーケティングなどで連携することはあっても、直接競争することはないと。

彼らがリアルビジネスに進出してくるまではそう信じていました。

アマゾンで買い物する人は、最近アマゾンがやたらファッションを押しているのに気付いているはずです。

その理由は、ファッションジャンルこそ、情報が、価格やマーケットを支配する代表セグメントだからです。

アマゾンには、Amazon Basicsという、アマゾンのプライベートブランドがあり、乾電池やUSBケーブルなどの標準的な商品を安価で取り扱っています。もちろん、商品にはアマゾンのロゴがはっきりと書いてあります。

しかし、アマゾンのプライベートブランドがそれだけかというとそんなことはなく、ファッションのジャンルでは、数十のブランドが実はアマゾンのプライベートブランドであることが分かっています。

アマゾンではよく見るけど、あまり聞いたことないというブランドを見たことがある人も多いかと思いますが、そういうものの中には、隠れアマゾンプライベートブランドが結構混ざっています。

アマゾンが企画・デザイン・製造して、アマゾンで売っている商品です。

しかし、みんなそんなことは気にせず、新興ブランドなのかなくらいの認識で、アマゾン内でのレビューや広告を見て買います。

そして、大体の場合、ハイラインではなく、ミドルレンジ以下の流行商品ですから、そこそこのデザイン性とそこそこの機能性で満足し、いつの間にか昔からあるブランドと同じように語られます。

ジーンズなんかも、2本目3本目としては、「Levisなどと比べるとちょっと安っぽいけどこの価格としては大満足」なんて、高評価がついてどんどん売れていきます。

ここまで来て、モノづくり企業の人たちは、やっと気づいたわけです。

どんなにいいものを作っても、また、どれだけマーケティングに力を入れようとも、情報の流通自体が、一部のIT企業に握られていて、彼らとは競争にならないことを。

しかも、中国や東南アジアの製造業のレベルは着々と上昇していますから、通常品であれば、委託先を見つけて大量生産するのは簡単です。

そして、どういう商品が売れるのか、また、売りたい商品をどうやって売るかは、IT企業が一番詳しいので、販売はお手の物です。

つまり、IT企業が製造業に参入するのは実は簡単で、その一方で、製造に主力を置いた企業にとって、モノづくりをビジネスにするところで一番重要な情報の流通は支配されているわけです。

このように、自分達はIT企業などと違ってモノづくりというリアルな商売をしているんだと言って、IT革命を他人事もしくは業務効率化の道具くらいにしか思ってなかった人達のビジネス領域に、続々とIT企業が進出しているというのが現状です。

もちろん、複雑なモノづくりにはさすがに簡単に参入できず、自動運転技術なんかは、IT企業と重厚な自動車グループのコラボが生まれています。

しかし、ハイブランド以外のファッション製品は、製造業としては敷居が低く、IT業界としてもリアルビジネス参入の試金石なわけです。

それを受けてユニクロとしては、情報製造小売業になると宣言しているわけです。

いいものを作るかどうかなんてことは問題じゃないとは言いませんが、ファッションに関する情報の流通を抑えなくては、ビジネスにならないわけです。

いい商品を作って、マーケティングにコストをかけて、頑張って流行を作り出しても、アマゾンなどに根こそぎかっさらわれかねないわけです。

自分達が考える良い商品を考案して製造した後に、どうやって宣伝していくかを考えるという従来のプロセスに加えて、情報空間で流通している情報に即した商品を製造して売っていくという、モノではなく情報主体のビジネスモデルを構築することがまず重要です。

しかし、それだけで終わってはだめで、情報自体を作り出し、ファッションに関する情報流通そのものに影響を与える力がないと、アマゾンなどにシェアを奪われるどころか、壊滅的な打撃を受けるかもしれません。

アマゾンは、動画や本や提携アフィリエイターを通じた情報の発信力はかなりの支配力を持っていて、ファッショントレンド自体を作り出すポテンシャルもありそうです。

ユニクロとしても、どう迎え撃つのか。

全員がユニクロを来たドラマでも作るのかな(適当)。

いずれにせよ、情報製造小売業。

なんだかわかりませんが、実際にどうなっていくのか楽しみです。

ちなみに私は全身イオンです。


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