中3「教科書理解できない」25%


またまた面白い調査が行われているようです。

読売新聞の記事によると、国立情報学研究所の新井紀子教授らの研究チームの調査で、中学生の25%が基礎的な読解力もないことが判明したとのこと。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20170923-OYT1T50000.html

まあ、どうせろくでもない調査だろうから、ふーんですませればいいのですが、それにしても問題が面白い。

この最新の調査の元になった問題は分かりませんが、予備調査の問題が面白いです。

【問題】
アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。

セルロースは( )と形が違う。

A. デンプン
B. アミラーゼ
C. グルコース
D. 酵素

この問題を見て吹き出しそうになるのは私だけ?

なんでこんな意地悪なんでしょうね。

こんな文章見つけてくる学者さんの労力に感服します。

正解はAですが、正解率は下記。

公立中学 中高一貫中学 公立高校
A 9% 27% 33%
B 29% 40% 57%
C 53% 27% 8%
D 9% 6% 2%

この問題、難しいですよね。

中学生くらいが、いきなり問題出されて、かったるいと思いながらさらっと読んで、BとかCにしてしまう気持ちはよくわかります。

知らないカタカナが並んでますし。

言葉に親しみが無くてもよく読めばわかるなんて言うのでしょうけど、知らないカタカナ用語に出くわすと、文章を読む気が失せてくるのは大人も同じだと思いますけどね。

学生の読解力に関しては、国際調査もあるらしく、日本は国際的に順位が低いそうです。

上記の問題を見れば、その理由は明らかでしょう。

絶対に日本だけ問題が意地悪なんだと思います。

何より先に、日本人のペーパーテストに対する執念みたいなものを何とかしないと、国際比較なんてできないんじゃないでしょうか。

作りこみすぎなんですよ、たぶん。

それに、日本語が難しいというのもあると思います。

「象は鼻が長い」

日本語を学ぶ外国人にとって最難関の文章らしいですが、日本人の私でも主語が象なのか鼻なのかよくわかりません。

『は』は考えれば考えるほど難しいです。

テレビなどに登場する日本語が上手な外国人タレントも『は』はうまく使えてない気がします。

上の問題文、引用元は生物の教科書だそうで、重要なポイントは、セルロースがグルコースから出来ているのにアミラーゼで分解されないことにあります。

アミラーゼという酵素がデンプンを分解するがセルロースは分解しないという、具体的な学問である生理学の知識。

酵素というのは、複合物質をその構成物質に分解する機能を持ちますが、構成物質が同じでも、対象たる複合物質の形状が異なると反応しなくなるという、酵素一般に関するより抽象的な生化学の知識。

しかし、この両者、高校まででは、生物という一つの科目でごっちゃに教えられます。

そこで、「アミラーゼはデンプンを分解するがセルロースは分解しない」というアミラーゼという具体的な酵素の性質の説明の中に、「同じグルコースから出来ていても形状が異なると酵素活性がなくなるという」という酵素一般の性質を突っ込んでそこも強調するから、変な感じになるわけです。

アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。

XはAを分解するがBは分解しないというのは、『は』を使ってBが分解されないことを強調していると言えます。

にもかかわらず、途中で、Pだとしても、という別の強調が入るからおかしくなります。

「アミラーゼという酵素は」から始まり、デンプンを分解するがセルロースは分解できない、で終わればシンプルに済むものの、途中で読点で区切って「同じグルコースからできていても」を挿入し、別の視点を強調するから、一つのセンテンスに論点が2つみたいになっています。

つまり、象は鼻が長いにおいて、主語が象なのか鼻なのかとわからないのと同じように、主題がアミラーゼなのかセルロースなのかがわからないわけです。

そして、その裏側にある、書いてる学者さんの、短文の中に知識を凝縮させたいという悩みもわからないではないです。

実はすごく難解な文章なんじゃないでしょうか。

私がブログで説明するなら下記のようにします。

アミラーゼはデンプンを分解するがセルロースは分解しない。デンプンもセルロースも共に同じグルコースが大量に結合することで構成される分子であるが、結合配列が異なるため分子形状は異なることとなる。酵素の活性は分子形状に依存するため、アミラーゼはデンプンをグルコースに分解するが、分子形状の異なるセルロースをグルコースに分解することはできない。

ちょっと冗長だけど説明文なんだから誤解がないのが重要と思います。

いずれにせよ、もっと素直な文章でテストしましょうよ。

変な文章読ませて、これくらいわかってもらわないと困るなんて、問題があるのは大人の方では。

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