にわかタックスヘイヴン2


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タックスヘイヴンにペーパーカンパニーを作ってそこに資金を送金して租税回避?

はじめに

パナマ文書関連のニュースを聞いていると、お金持ちがタックスヘイヴンにペーパーカンパニーを作って、そこに資産を隠して、租税回避しているなんて説明が当然のように出てきますが、これ本当でしょうか。

まず、会社の法人税にしろ個人の所得税にしろ、所得に対して課税されます。

所得か利益かみたいな言葉遣いのつまらない話はさておき、所得とは要するに売上から経費を差し引いたもので、利益と言われるものと同じです。

売上が3,000万円で、経費が1,000万円であれば、利益、つまり所得は2,000万円です。

そして、この所得2,000万円×税率で法人税や所得税の金額は決まります。

ここで問題は、所得が2,000万円だからと言って、現金が2,000万円あるわけではないという点です。もちろん、売上3,000万円から経費1,000万円を払えば手元に2,000万円あるはずですが、その2,000万円で、土地とか車とか美術品とかの資産を買ってしまえば、それは経費になりません(すぐには)。

つまり、手元にある金をタックスヘイブンのペーパーカンパニーに送って、手元にお金がありませんなんていくら言ったところで、そんなことは税金の計算には関係ありません。

税金は、利益という数字にかかるのであって、払う資金がどこにあるかなんて関係ありません。

では一体、ペーパーカンパニー作ってどうするんでしょうか。

よくある勘違い

最初に、時々散見される勘違いを説明します。

私が日本の税金は高いからと言って、日本に税金を払いたくないとします。

そこで、パナマにLifting Modeというペーパーカンパニーを作ります。

そして、実際には浜松町で営業しているのですが、賃貸契約等を全てパナマの会社の名義で契約し、パナマの会社の浜松町営業所ということにして、売上等を法律上全てパナマの会社のものとします。

そうすれば、Lifting Modeはパナマで税務申告すればよく(パナマの法人税率は0%)、日本で税金を払う必要はないのでしょうか。

当たり前ですが、そんなうまい話はありません。

日本で稼いだ所得は日本で申告しろと税務署が浜松町のスタジオに乗り込んできて終わりです。

国籍がなんだろうが、日本に拠点をもって営業していれば、日本で税金を払わなくてはならないという税法が日本にはありますし、何より、日本に営業所を持っていれば隠れようもなく、税金取られます。

これは、租税回避でもなく、ずさん過ぎて脱税というよりは無申告とか未納付に近いもので、国際会議なんて必要ありません。

経費を増やすやり方

次に出てくるのが、経費をタックスヘイヴンに付けるやり方。

どっかのタックスヘイブンにカリブ海コンサルティングのようなペーパーカンパニーを作って、そこからコンサルサービスを受けたようにして、そのペーパーカンパニーに1000万円払います。

そうすると、経費が1,000万円増えて、所得は1,000万円減ります。その一方でタックスヘイヴンで、そのペーパーカンパニーは1,000万円売上が生じることになりますが、税金がかからないので、関係ありません。

もっとも、こんなやり方が通じるはずはなく、すぐにばれます。税務署に、このコンサル費用ってなんだと言われて問答無用で修正申告です。

また、そもそもこれは架空経費の計上であって、完全な脱税行為であり、いわゆる合法的な租税回避ではありません。今ある税法で追徴課税できます。国際会議なんて必要ありません。

売上を減らすやり方

これは、原始的ですがよくあるやり方です。

つまり、レジの売り上げを抜いて、タックスヘイブンにある銀行口座に送ってしまうものです。売上を帳簿上なかったことにするとともに、売上の証拠たる現金自体隠してしまうというものです。

1,000万円の売上をなかったことにすれば、利益も1,000万円減ることになって、それだけ税金を減らせます。

しかし、税務署としても、売上と通帳、つまり資金の流れのつじつまが合っているとどうしようもありません。

もっとも、自社名義の銀行口座を作ってしまえば、それを税務調査で隠すと犯罪ですし、それを明らかにしつつもそこへの入金の中身を知りませんとしらばくれても通用しないので、結局、現地にペーパーカンパニーとその銀行口座を作り、裏口座として利用します。

この時に、よくあるカリブ海系のタックスヘイヴンは、株主も役員も法人がなれたりして、現地の専門会社が自分の代わりになってくれて、登記簿上自分や自社の名前が一切出てこないペーパーカンパニーを作ることが出来るので都合が良いわけです。

このやり方、資金を隠しているのは事実ですが、海外の銀行口座に送っているだけであって、その国や地域で所得は一切計上されないので、税金が安いかどうかは関係ありません。本当の持ち主不明のペーパーカンパニーさえ作れればそれで問題ありません。

しかし、このやり方は売上の過少申告ですから、完全な脱税行為であって、いわゆる合法的な租税回避ではありません。今ある税法で追徴課税できます。これも、国際会議なんて必要ありません。

これは、見つけにくい脱税方法ですが、いつかそこから資金を引き出して使う日が来るので、狙うとどっかで足が付いて、捕まえられます。

ケイマンのガーディアンバンク事件が有名です。この本が詳しい。

租税回避とは何か

以上、結局のところ、タックスヘイヴンにペーパーカンパニーを作って租税回避とはどういうことでしょうか。

租税回避とは、節税と脱税のグレーゾーンにあるやり方のことですが、税法上はグレーゾーンは白と扱わないといけないから問題となります。

日本でも、憲法に租税法律主義とかいうのが規定してあって、税法に規定がなければ課税してはいけないことになっていますから、「税法には規定していないけど、こんなのだめに決まってるだろ!」といって課税するのは憲法で禁止されています。

では一体、国際的に問題となっている、タックスヘイヴンにペーパーカンパニーを作って租税回避とは一体何をするのでしょうか。

続きは次回。

なお、アフリカにもっと援助をしろと世界の政治家たちに強く訴えかける、人権活動家として有名なU2のボノですが、U2の事務所自体がカリブ海のバミューダ諸島かどっかにあって、CDやコンサートの売上の税金をほとんど払っていないのは有名みたいです。母国アイルランドの税務署の人が、きれいごとは自分の国に税金をちゃんと払ってからにしてほしいと怒りの告発をしているのを昔何かで読みました(クーリエジャポンだと思う)。

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