炭水化物によって人類は滅びるのか


メインブログで書いた通り、最近は糖質制限の本を読んでいます。そして、そのうちの一つとして、夏井睦著『炭水化物が人類を滅ぼすー糖質制限からみた生命の科学』光文社新書を読みました。

しかし、これがまあ、世紀のトンデモ本で、メインブログ用に書評を書いたのですが、本当の私とは180度違って上品なメインブログにはとても載せられない代物になってしまったので、ほぼ全面書き直しをしているところです(最終的に書評を載せるか否かはまだ決めていませんが)。いくらトンデモ本だからといえ、筋トレとダイエットに関する情報を載せるサイトに、著者を揶揄するのがメインの記事は書きたくないので。

もっとも、そうはいってもこの本の主張はあまりに荒唐無稽で(ろくに読み込んでいませんが)、少しは率直な感想を書きたいので、誰も見ていないであろうこのブログに個人的に面白いと思った箇所を紹介したいと思います。

この本の前半では、糖質制限を始めてからいいことだらけという話が前半に書いてあり、その中でも、食後に眠くならなくなったという点を結構強調していて、そんなに、食後の眠気に悩まされていた人なのかなと不思議に思っていたところ、なぜ、著者がそれを強調するか出てきました。

そして、糖質を食べると眠くなるという現象が、本来の人類は糖質を摂取していなかったことを証明している。初期人類が糖質を食べて眠りこけていたら、肉食動物のエサでしかないからだ。位置No.785から引用

もともと人類は肉食動物であって糖質を主食とするようにできてはいないという話を糖質制限派の人はよく言いますが、こういう理由もあったのですね。

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また、この本の最大の特徴は、炭水化物が人類を滅ぼすという過激な主張をしている割には、炭水化物が人類にとってなぜ悪なのかが一切出てこない点にあります。

カロリーという概念に疑問を呈する箇所が特徴的ですが、イントロが終わり、さあここから本題かというところで、本題に入らずに、著者の関係ない知識自慢みたいなのが始まったと思いきや延々と続き、論旨がぐちゃぐちゃになったところで、唐突に議論は終わりを迎え、次の章に行くイメージです。

徹頭徹尾、炭水化物は人類にとって有害であるという点を所与の前提をしたうえで、人類はもともと炭水化物を食べていなかったとか、カロリー計算はおかしいと言った、枝葉の議論に終始していて、結局なぜ炭水化物のせいで人類が滅びるのか良く分からないのです。

そこで、読むのを途中でやめてしまった人も多いと思いますが、実は最後にちゃんと出てきます。人類が滅びる理由が。

従来型の灌漑農業と穀物生産は、もうほとんど限界まで来ていて、そう遠くない未来に破綻することは目に見えている。つまり、穀物という偽りの神に執着していては、いずれ人類は穀物と共倒れになる運命だろう。位置No.3377から引用

どうやら炭水化物依存を辞めないと地下水が枯渇して人類が滅びるというのがタイトルの理由のようです。繰り返しになりますが、穀物が偽りの神であるというのは所与のものとして扱われています。当然のように、炭水化物が現代社会の様々な病気の原因(もちろん睡眠障害を含む)とされています。

なお、この本には、糖質制限のすばらしさを語るところで、この著者を敬愛する方々からのお便りを紹介するコーナーがあって、糖質制限をはじめたら精神的に積極的になってバイクの走行距離が伸びた60代男性、家族から針のむしろにされながらも糖質制限を続ける農家の嫁、息子が糖質制限を始めてから前向きな学習態度を取るようになったと喜ぶ主婦等、様々な体験談も豊富に紹介されています。

糖質制限について理論的な側面だけでなく、現実を知りたい人にぜひお薦めです。

なお、引用の位置No.はKindleで表示されるものです。